トップページの校長のコラム内容を記録として掲載しています。

Weekly Letters

令和7年2月7日 「すごい!」を生み出す感動体験

 今日は,3年生の児童が尾道西消防署へ社会見学に出かけました。
 見学の最中にもリアルな出動場面に遭遇しました。次に掲載するのは,見学に出かけた児童の作文です。
 私は,消防署の人達は,人の命を大切にしていました。人の命を守ることをいつも思って働いているのがすごいと思いました。防寒服とか重いものをもって,火を消すと言っていたので,かなりの力がいるという事が分かりました。24時間も働き,尾道の事を守っておられる消防士の人はすごいと思いました。あんなに,頑張れる人はすごいと思いました。(後略)」
 「すごい」という言葉が繰り返し出てきています。作文としては整っていないかもしれませんが,純粋に感動したことが伝わってきます。リアルな体験,本物との遭遇体験が,感動を生み出しているのです。
 動画や教科書に掲載されている写真などで,消防車や救急車などの存在は知ってはいますが,実際に自分の目で見て,実際に働いている人から話を聞くと全く違った認識が生まれます。
 子ども達が自分の進路や夢を描くためには,選択肢が必要です。その幅を広げてくれるのが,リアルな本物体験や本物との出会いです。手軽に情報を得られる時代になったからこそ,逆に価値があると思います。

令和7年1月31日 言葉のプレゼント

 先日,親族の法事に参列するため,お寺に伺った際,掲示されていた言葉を紹介します。
「苦しい時には,不平を言うが,楽しい時には感謝を忘れる。」
 私はこんなに頑張っているのに,~してくれないと周囲の人を責めたくなる経験は誰もがあるのではないでしょうか。しかし,逆に上手く物事が進んだ時こそ,関わってくれた人達へ思いを寄せ,感謝の気持ちを忘れてはいけないことを自覚させられます。
「『私は正しい』争いの根はここにある」
 人と人,国と国,いずれにしても根底は正義と正義のぶつかり合いです。受容と理解,折り合いをつける,大人も子どもも関係性を築くための大切なヒントがそこにはあります。
 「忙しくなったら『盛り上がって来ました』,ピンチになったら『面白い事が起きました』と言い換えてみよう。」
 逆境を乗り越えるためには「ポジティブ思考」が大事だと思わせてくれる言葉です。勇気と元気をもらいました。
 今日で1月が終わります。来週は寒さが厳しくなる予報が出ています。健康管理にも十分留意して2月を乗り越えましょう。

令和7年1月25日 音楽発表会にお越し頂き,ありがとうございました。

 本日,令和6年度の音楽発表会を開催しました。年間のカリキュラムを変更した関係で,1月の開催となりました。また,2部制での実施とし,1部で1,3,5年,2部で2,4,6年という構成で設定しました。2年間という成長の段階が,それぞれの部で感じて頂けるように構成しました。
 子ども達は,「みんなで心を一つに! ひびけ!! ひびっ子ハーモニー」というテーマの元,「世界の共通語」である音楽を手段として自分達の成長の様子を表現しました。音楽発表会ですから,音楽を披露することが主たる目的ではありますが,
 ・自分の選んだ,与えられた楽器の演奏を通して,自分の役割を果たすこと。
 ・異なる楽器のメロディーを感じて,調和を図り,仲間の存在を感じること
 ・目的に向かって,困難を乗り越えて挑戦すること
  などの人間的な成長を図る機会としても設定しています。簡単に言えば,「他者と協調しながら,自分をしっかりと表現し,目標を達成すること」です。
 6年生は,余す所,登校可能な日数も36日となりました。1年間のまとめと次年度に向けた0学期という意識をもって,残りの日々を過ごしていく予定です。引き続き,ご理解,ご支援をよろしくお願い致します。
 最後になりますが,ご来賓の方におかれましては,最後までご観覧頂き,心から感謝致します。ありがとうございました。

令和7年1月17日 震災の歴史を忘れない。

 今日は,1月17日,阪神淡路大震災の日です。30年前の午前5時46分に地震が発生しました。今でも鮮明にその時の揺れを身体が覚えています。先日,気象庁からは南海トラフ地震の発生確率が上がったことも最近報道されており,遠い昔の話ではありません。
 今朝,神戸で開催された祈念式典で挨拶をされた「語り部KOBE1995」という組織の代表である長谷川さんは,当時小学校2年生で母と弟を亡くされています。現在の神戸は震災を知らない世代が半数を超えており,そうした意味でも長谷川さんは,「家族や親戚、友達といった、自分の周りにいる人の有難さや、日常の有難さ,後悔のないように一日一日を大切に生きること。そして,自分を支えてくれている周りの人に目を向け、感謝の気持ちを伝えること。」を「語り部」という組織で後世に伝えておられます。
 日比崎小学校の修学旅行も今年から,神戸の「人と防災未来センター」を見学コースに加えています。自分事として過去の教訓を生かしてもらいたいという願いからです。
 各ご家庭では,こうした祈念の日に,防災に関することを話題にし,具体的な行動計画を考えられることを願います。

 ※写真は,修学旅行の際に訪れた「人と防災未来センター」で語り部の方からお話を聞いている6年生です。「人と防災未来センター」については,こちらのページをご覧ください。

令和7年1月10日 「好き」が仕事を生み出す原動力となり,「創造性」が問題を解決する。

今日は,6年生の総合的な学習の時間に本校の保護者である「不動機工」の社長さんに「ロボットが創る未来の社会」というテーマでお話をして頂きました。
 企業においては,合理化,効率化を図り,収益率をあげる目的で従前からロボットが導入されています。しかし,現在はそれに加えて,今後の人口減少に対応するため,「人」に代わる「ロボット」の導入が注目されています。
 今日,お話頂いた保護者の方は,企業の現場での「困り感」に対しロボットを導入することで解決策を提案されているSystem Integrator(システムインテグレーター)という仕事をされておられます。実際に,こういうロボットを導入すると良いというアイディアをスケッチに起こし,ロボット生産会社に提案し,設計,組立,実際の立ち上げまでの過程を担うお仕事です。
 まさに,予測困難な時代における課題解決であり,問題解決であり,創造力や表現力,コミュニケーション力が発揮されるお仕事です。お話の中で特に印象に残ったのは,「顧客の方が喜んでくださることが仕事のやりがいであり,元々ロボットが好きなんです。」と話されていたことです。
 6年生は卒業を控え,総合的な学習の時間に自分の将来を描く学習があります。教員をはじめ直接接してきた職業や,プロ野球,サッカーなどの憧れの仕事については,夢の対象として描きやすいのですが,実は,それは極々一部であり,日常的に意識することがない分野にこそ,本来はより多くの仕事があります。子ども達の視野を広げ,選択肢を増やすためにも多様な職種の方と出会う機会を創ることを心がけています。本日は,貴重な機会をご提供頂き,ありがとうございました。

令和7年1月7日 第3学期始業式式辞(要約) 「心」を伝承する。

 新年,明けまして,おめでとうございます。令和7年が始まりました。年末年始,今年にかける思いや願いを考えた人もたくさんいたことでしょう。(中略)
 さて,2学期の終業式で,今年を表す漢字一文字について紹介したところ,25名の人が自分の選んだ漢字を応募してくれました。今日はその中から一人,3年生の宮地さんが「心」という漢字を選んだ理由について,紹介します。
 「私は,運動会の時の『燃えろ!ひびっこ』というテーマが自分の心を燃やすことだと思いました。そして,校長先生が言っていた「関わる,感謝,応援,人のために力を使う。」という4つのキーワード全てが心を大切にしているワードだと思ったからです。私は,みんなと関わり,新しい友達もできるよう心を大切にしてきました。来年はさらにランクアップして,心を大切にしながら,人に気を遣い,自分のことを大切にできるようにしたいです。」
 6年生が考えた運動会のキャッチフレーズが,こうして下級生の心の中に生きていました。
 「自分が考えれば,人の喜びが増える。自分が動けば,友達の輪が広がる。自分が感謝すれば,ありがとうの輪が広がる。」 言葉の行動をかえ,言葉が人を創っていますよね。
 6年生は後50日間で卒業します。この残された50日間の間に何を残せるか,「見えない宝物」を後輩に授けてもらいたいと思います。そして,それぞれの教室では,2学期の最初に紹介した絵本「教室は間違うところだ」に登場する子ども達のように,友達の考えを受け入れ,間違ってもいいから自分の考えをしっかりと表現できる教室づくりに励んでください。
 進級,進学に向けて大切な50日間を先生達とみなさんで一緒に創っていきましょう。


※写真は,応募してくれた児童の漢字一文字を一覧にしたものです。

令和6年12月23日 第2学期終業式式辞(要約) 「平和」は自分達が創る。 

 毎年12月になると今年の漢字が決定され,新聞やテレビで報道されます。今年の漢字は,「金」でした。パリオリンピック・パラリンピックで数多くの「金」メダルを日本の選手が獲得したこと,ドジャースの大谷翔平選手が50-50達成と3回目のMVPを獲得したこと,新潟県の佐渡島の「金」山が日本で26件目の世界遺産に登録されたこと,さらに20年ぶりに新紙幣が発行されたことも話題となり決定しました。漢字一字で1年間の様子を表すことは,難しいことですが,人々の関心が最も集まったできごとを知ることができます。
 では,日比崎小学校の2学期を漢字一文字で表すとすると,皆さんはどんな漢字を選びますか?修学旅行,社会見学,運動会,ハッピーフレンズ活動,ひびフェス,持久走記録会,大縄跳び大会などたくさんの行事があり,日々の授業がありました。ぜひ,自分の2学期を象徴する漢字を考えてみてください。校長先生が印象に残ったのは,今年のノーベル平和賞を日本の被団協が受賞したことです。漢字一文字で表すと「願」になるでしょうか。被団協というのは,「原爆の被害者の方々が,世界の人々に向けて,核兵器をもつことを止めましょう。」という思いで集まった団体です。今年の八月六日の広島平和祈念式典で,小学生が宣誓文を読みました。その中の言葉を紹介します。

「願うだけでは,平和はおとずれません。
色鮮やかな日常を守り,平和をつくっていくのは私たちです。
一人一人が相手の話をよく聞くこと。
「違い」を「良さ」と捉え,自分の考えを見直すこと。
仲間と協力し,一つのことを成し遂げること。
私たちにもできる平和への一歩です。」※9月6日にも紹介しています。

 小学生のみなさんも学校生活の中で,できることがあるのです。まずは,教室で「平和」を創ることです。いつも言っている4つのキーワード「関わり,感謝,応援,貢献」を忘れずに,先生達とともに,誰もが居心地の良い,平和を実感できる学級,学校を創っていきましょう。主役は皆さんです。
※終業式後にすぐに私の漢字一文字を伝えに来てくれた児童がたくさんいました。始業式で紹介する予定です。

令和6年12月20日 安全基地を笑顔で創る。 

 9月以降,「他者とともに高め合い,主体的に行動できる子ども達を増やしたい。」という願いをもって,日々の授業を通した学習を積み上げ,修学旅行,運動会,持久走記録会,ハッピーフレンズ活動などの行事を組み込み,教育活動を展開してきました。主体的に行動するとは「自分なりに,適度な負荷がかかる『ストレッチゾーン』へ踏み出して,チャレンジしてみようという意志をもち,行動に移すこと」です。このために欠かせないことが,安心できる場所としての「コンフォートゾーン」があることです。
 保護者の安定した愛着を得られた幼児は,いつでも戻れる場所がある安心感を得て,おのずと保護者から離れて探索行動や遊びを行うようになります。これと同じように,学校では学級という安全基地を作ることが,児童の主体性を培うためには不可欠です。クラス会議をはじめ,様々な方法を用いて実現を試みていますが,最も基本にしなければならないことは,教師の笑顔と機嫌の良さです。西洋には「Smile is medicine with no side effects.」ということわざがあります。和訳すると「笑顔は副作用のない薬」です。安心感を創る最も基本的な姿勢です。
 3学期も,この安全基地としての役割を果たせるよう,取組を継続していきます。
 2学期の終業式は来週,23日(月)です。

令和6年12月13日 「ありがとうの木」に感謝の養分を注ぐ 

 後期の児童会役員の公約の一つである「ありがとうの木」の取組の成果が,児童玄関に設置されています。各学級で一人一人に配られた「感謝の葉」に言葉が添えられて,一つの木として集約されました。ある葉のカードには,「いつもフォロワーとして1年生に優しく声をかけてくれてありがとう。これからもよろしくね。」,「ハッピーフレンズ活動では,困っていたら助けてくれたり,みんなを盛り上げてくれてありがとう。」「いつも困った時に,何かあった?大丈夫?と声をかけてくれたり,なぐさめてくれてありがとう。いつも話を聞いてくれ嬉しかったよ。」などのメッセージが綴られていました。直接言葉で伝えることができなくても,文字で書くと伝えられることもあります。「人には感謝することが大切」という知識は,誰もが獲得していることです。しかし,それを実感できる場にいなければ,知識に命は吹き込まれません。本物の学びは,「関わりの実学」の中から生まれます。

令和6年12月6日 友達を全力で応援できるあなたが素敵です。

 昨年度までは,郊外で学年ごとに設定したコースを走る「持久走大会」でしたが,今年度からグラウンドを一定の時間で周回する「持久走記録会」に変更しました。3回の試走後に4回目となる本番のそれぞれの記録を取り,自己新記録を目指す取組です。「他者と競い合う」というニュアンスから「自分に挑戦」というニュアンスが色濃く流れています。周回のカウントは自分でもできなくはないですが,友達の力を借りることで,より正しいカウントができます。また,副次的にお互いのペアを応援する関係性になります。5年生の記録会の際に,ペアの友達に対して,「いい調子だよ。この前より3秒早い!」「後1分だからもう2週はいけるぞ」「いい感じ,いい感じ。そのままいけー!」など周回数をカウントしつつ,状況を伝えて今後のアドバイスをしたり,気力を高めるような声かけをしたりするなど,自然体で「誰かのために力を使う」姿を見せてくれた児童がいました。素敵な応援でした。

令和6年11月29日 秋から冬への花めぐり

 今週の30日(土),1日(日)は,「まちなか文化交流館 BANK(バンク)」にて,「いけばな池坊展」が開催されます。テーマは,「秋から冬への花めぐり」です。例年,この展覧会に「生け花クラブ」の子ども達の作品が展示されます。写真は,事前に生けた子ども達の作品です。主催者の方々が,金曜日の夕方に会場まで搬出される予定です。会場には,子ども達の作品以外にも池坊尾道支部の皆さんの作品が展示される予定です。時間は午前10時から午後5時までです。もし,お時間が許せば,お立ち寄りください。

 ※下の写真は当日の展示の様子です。

令和6年11月22日 ことばは生命体

 国語の教科書に幾度となく登場する谷川俊太郎さんが亡くなられました。1年生の国語の教材レオ・レオニ作「スイミー」を翻訳されたのも谷川俊太郎さんです。また,6年生の国語の教科書(光村図書)には「生きる」という詩が永年にわたって掲載されています。保護者の方の中にもこの詩を学んで卒業された方がおられることと思います。詩作,絵本,童話,翻訳,作詞(校歌を含む),脚本などなど「ことば」を主軸とした仕事の範囲は多岐に渡っておられました。鉄腕アトムの歌の作詞も谷川俊太郎さんです。
 「ことばは生命体だ」と生前,言われていたように私達は「ことば」を媒介にして,思いや考えを巡らし,感情を揺さぶられ,自分を表現し,人と繋がっています。「ことば」が自分を創り,社会を創る。自分の「ことば」の有り様,使い方次第で人との関係は簡単に壊れるとともに,固い絆で結ばれることもあります。
 小学校生活の入学から卒業までの6年間,谷川俊太郎さんの紡いだ「ことば」を通して子ども達を育てていきたいと思います。ご冥福をお祈りします。

令和6年11月15日 「遊び」は豊かな「学び」の場になる。 

 13日の水曜日は後期の「ハピフレ・フェスティバル」開催日でした。2,3,4校時を前半,後半に分けての実施です。今日までの間に各班で出店の計画を進め,準備してきました。当日の朝もまだ不足があったようで慌てて準備している様子もありましたが,始まってみると臨機応変に対応しながら,運営を進めていました。
 まずは,「来て貰いたい」という思いがありますから,何名かの児童は階段を降りては登りを繰り返し,看板をもって呼び込みに回りました。願いが伝わるように大きな声で「表現する力」が必要です。通りすがりの人を熱意をもって誘う必要もあります。これは,まさに「コミュニケーション能力」です。次に,お店に来てくれた人に分かりやすく,ルールを説明する必要があります。ここでは「論理的に説明する能力」が鍛えられます。ゲームの進行に当たっては,「相手意識をもって,対応する力」が求められます。そして,ゲームが成功すれば,喜んだり,失敗すれば,一緒に残念がったりする「共感する力」も必要です。チームで行動しますから,特にリーダーは常に全体を掌握し,下学年に配慮する意識も求められます。
「遊び」浸る過程の中に「学び」が存在します。体験がなければ成長の場は生まれません。表面的には遊んでいるだけのように捉える人もいるでしょう。しかし,そこにはリアルな学びがあり,成長の芽が育まれているのです。

※日曜日は保護者版の「ひびっこフェスティバル」が開催されます。PTAの皆様,準備,運営ありがとうございます。

令和6年11月8日 「摩擦」で磨き合い,仲間になる。 

 今日は,尾道市の文集「みなと」に向けて書いた6年生の作文を紹介します。
 私の学校では「ハッピーフレンズ」という縦割り班での活動をしています。私は六年生なので、下級生の子のサポートをしたり、活動の計画を立てたりしないといけません。班の子全員をまとめることは、私にはとても難しく、途中で「いやだな、やめたいな。」と思うこともあります。弟や妹とは違って、注意をしても話を聞いてくれず、どうしたらいいのか分からなくなり、悩むこともたくさんあります。けれど、そんな縦割り班の活動も、最近はとても楽しく思えることが多くなりました。下級生から「ありがとう」や「楽しかったよ」という言葉をかけてもらうと、私はきちんと六年生としての役割を果たしているのだという実感がわき、やりがいを感じることができるようになったからです。活動した後に見る下級生の笑顔は、私を次のハッピーフレンズでの活動もがんばろうという気持ちにさせてくれます。今ではこのハッピーフレンズ班での活動の時間は,私にとっては妹や弟と過ごす時間と同じくらい大切だと思えるようになりました。あまり関わりのない人と過ごすことは、今でもあまり得意なことではありません。しかし、勇気を出して関わってみると、関わる前には知らなかったその人の良いところや、意外なところに気付くことができました。また、自分自身も協力することの大切さに気付かされたり、リーダーシップを身に付けたりすることができるようになるということを知りました。これからもいろいろな活動に勇気を出して取り組み,たくさんの人と関わっていく中で学んだことをつなげていきたいです。
 
 机に座って,教科書の教材を通した学びも必要です。しかし,それ以上に,実在の人との関わりの中で「摩擦」を感じ,お互いに「磨き合う」という体験が子どもを「成長」させ,「仲間」を育てるのです。
 「見えないつながり」が見えた瞬間に「学校」の価値を感じ,喜びを見出しています。
 来週,後期の「ハッピーフレンズフェスティバル」を開催します。

令和6年11月1日 「体験」を通して感性を磨く 

 秋になると,「これ,あげる!」と言いながら,どんぐりを拾いながら登校してくる児童がたくさんいます。
 どんぐりは,種のように見えますが,堅果(けんか)といって,殻が非常に固い実です。どんぐりは丸い形をしていますが,それも子孫を増やす戦略です。森の傾斜を利用して転がりながら,勢力範囲を広げようとする生き延びるための戦略です。また,リスなどの小動物が冬場の餌として地中に埋めてくれることも芽を出すチャンスを与えてくれます。しかし,実際は成木となるのはほんの一握りの確率です。
 どんぐりはアクが強く,そのままでは食べることができません。しかし,古代の人達にとっては主食の代わりにするなど,アク抜きをして食べられていました。かつて,それを再現しようと,子ども達と丁寧にアク抜きをしてクッキーにして食べてみたことがあります。味付けをしないと正直,美味しいとは言えませんが,糖分を加えれば,なかなかの美味でした。
 実際に見る,匂う,触る,聞く,食べるなどの直接体験を通した理解は,記憶に刻まれます。秋本番です。屋外にも出やすくなりました。学校内外での多様な「経験」を通して,子ども達の感性が磨かれることを期待します。

 ※写真は,1年生が生活科で集めたどんぐりを煮沸して,どんぐり虫を退治している様子です。

令和6年10月30日 難が無いのは『無難』な人生 難があるのは『有難い』人生 

 10月27日(日)は,令和6年度の運動会でした。今年度は新たに4色の縦割り班で構成し直し,「縦割り班種目(4種)」を団体競技として取り入れての実施でした。時間的な制約もある中,企画,準備,運営方法を考え直しての開催でした。職員もアイディアを出し合い,熱意を持って取り組んでくれました。また,6年生はリーダーとしての役割を十二分に発揮する場となりました。  
運動会は子ども達にとって,正に「体験」の場です。気づき,考え,表現し,調整しながら,多様な学びを重ねていきます。特に「縦割り班」はこうした「体験」を通してつながりを創る場でもあります。当然のことながら,集団は人の集まりですから,何事もなく,摩擦もなくスムーズに事が運ぶことはありません。摩擦の中でこそ,お互いを磨き合い,成長します。集団が仲間になっていくためには,自分の考えはしっかりと主張するけれど,相手の考えにも丁寧に寄り添い,共感し,折り合えるギリギリのラインを模索する体験が必要なのです。  
「難が無いのは『無難』な人生 難があるのは『有難い』人生」という言葉は,ここでも当てはまると感じています。  
保護者の皆様,地域の皆様,ご声援ありがとうございました。これからもご理解ご協力をよろしくお願い致します。

令和6年10月18日 来週末,運動会を開催します。 

 金木犀の香りが秋を感じさせる季節となりました。学校では運動会の練習を始めて,3週間が過ぎました。来週末の27日に開催します。10月以降,気温は高い日もありましたが,熱中症の危険も少なく,練習期間としての気候はとても適していると感じています。
 毎日のように天気予報を確認していますが,今日の段階では曇りと雨のマーク。この時ばかりは天気予報が外れることを願うばかりです。
 今年度の運動会は,「縦割り班での種目を導入し,学年を超えた繋がりを創り出すこと」に特徴を持たせています。人と人の関係性を醸成するためには一定の期間が必要です。毎日の生活や一つ一つの行事で共に活動する機会を通して,培われていくものだからです。
 日々子ども達に伝えている「自ら関わる」「感謝する」「応援する」「誰かのために貢献する」という4つのアクションを存分に発揮できる機会となります。中学校のグランドを借用しての開催という物理的なリスクはありますが,演技と競技を通して,子ども達の成長の一端と関わりの姿を見て頂ければと思います。
 来週は長い一週間となりますが,体調管理に御配慮頂き,当日の子供達へのご声援をどうぞよろしくお願い致します。
 運動会のプログラムは、こちらをご覧ください。

令和6年10月11日 「梨」の歴史と科学と個性

 1年生の子ども達が,芸術祭の絵のテーマとして選んだのが「梨」でした。9月が最も梨の最盛期であり,我が家でも連日のように食卓に登場していました。
 この「梨」は,かつては,何万年も前の中国からシルクロードを通って,海を渡って日本に伝来したものだそうです。 日本では弥生時代から始まり,農作物が不作の時でも安定して収穫できる作物として,栽培されていたようです。
 名前の語源は,果肉が白いから「なかしろ(中白)」,風があると実らないから「風なし」,果実の中心が酸っぱいから「中酸(なす)」などの言葉から,「ナシ」へと変わったと言われています。
 「幸水」や「豊水」,「二十世紀」,最近では「あきづき」など,豊富な種類の美味しい梨があります。それぞれ,甘みや食感が異なりますが,その食感の違いはどこから来るのでしょうか。実は梨には「石細胞」という細胞があり,病原菌から果肉を守ったり,水分を逃さないようにしたり,傷が付かないように保護する役目をする擁壁の役割をしているそうです。この石細胞の量や固さが食感の違いを生み出しているようです。
 一言で「梨」といっても,歴史があり,担ってきた役割があり,個性があります。人の営みに寄り添って発展してきた果物だと言えるでしょう。1年生の描いた「梨」も個性豊かに描かれていました。

令和6年10月4日 人は置かれた状況の中で,相関性を通して変容する。

 国語科の物語文を学習する際,教師は子ども達に「登場人物はどんな人?」と問いかけ,人物像を描かせます。しかし,最初の場面で描いた人物像が最後まで同じことはありません。「はじめ」「なか」「おわり」という展開の中で,常に変化していきます。子ども達はそれぞれの場面で性格やものの見方や考え方が変わってくることを読み取りながら学習を進めています。
 「登場人物は変容する。」ということは,裏返せば,読み手である自分も変容する可能性がある人物であることを認識することに繋がります。同時に,教室にいる「仲間の見る目」を育てていることにも繋がっています。つまり,物語を読む学習は,「現実の人間を理解する」学習なのです。
 なぜ,人物は変化するのか,性格は変わっていくのか,それは,他の登場人物との関係性が存在するからです。人の性格は他の人物に働きかけていくことで変わっていき,逆に他の人物に働きかけられて自分も変わっていくことを物語を通して学んでいます。
 自分には「人との関わりの中で変容していく可能性があるんだ」ということを学べることが国語の物語文の魅力です。

令和6年9月27日 思い出は自分達で企画し,創造する。

 来週の月曜日,火曜日は第6学年の修学旅行です。今年度の修学旅行は,昨年度とは異なり,「自主性」を重視した形に変更して実施します。具体的には,初日の京都は4~5人程度のチームを編成しての「タクシー研修」です。
 従前は大型の観光バスで全員が同じ行程で名所を巡っていましたが,今年は自分達で訪問地を選定し,行程を組み立てて周遊する形態への変更です。事前の情報収集にかなりの時間を割いています。また,昼食場所も自分達で決めていきます。それぞれ観光タクシー会社の運転手の方が引率役で添乗するので,プロの意見を聞くことも可能です。
 今回の修学旅行は一律のルートで回る旅行を否定するものではなく,「自分達の旅行を自分達で創る」という経験を重視しての実施です。30日,1日の天気はまだ気温は高いようですが,天気には恵まれそうです。思い出を自分達で創造します。

令和6年9月20日 曖昧さの中にある真実

 理科の授業で、「水は100℃で水蒸気(気体)に変わる。」ということを子どもたちは学びます。しかし、ある時、「雨の翌日には水たまりは100℃にならないのに無くなっている。」ことに気づき、その疑問を質問してきました。みなさんはどう答えますか?
 確かに、水たまりの水は気温が100℃にならないけれど、乾きます。また、洗濯物も寒い冬であっても一定時間外に干せば、綺麗に乾きます。原理原則に沿わない現象です。
 水が100℃にならなくても蒸発していくのは、表面近くにいる水分子の中に、水分子同士がお互いに手を繋いでいた力を振り切れるだけの強いエネルギーを得た水分子が、押し戻そうとする空気の力を超えて飛び出すからです。原理原則に沿わない「曖昧さ」の中にこそ自然が成り立っていることもまた面白さです。
 日々の生活の中でも「決まったとおりにならない」「思い通りにならない」ことは多々あります。「何でも完璧、100点満点」の生活はできないのです。「何でも自分の思い通りに事が運ぶ」こともまたありません。
 「いい加減は『良い』加減」という言葉があります。曖昧さの中に「ちょうど良い」を探して柔軟に生きる力を身に付けるためには、理想と現実がそぐわないという矛盾を乗り越える経験が、柔軟に生きていく力を育てていくと思います。学校生活はそうした経験を得る場でもあります。

令和6年9月6日 自分達にできること。

 ちょうど1ヶ月前,8月6日は広島平和祈念式典が行われました。その式典の中で毎年,広島市の小学生が「平和への誓い」を述べます。この誓いの言葉は,小学6年生の代表の子ども達が被爆者の方に聞き取りに行ったり,広島市教育委員会の方々とワークショップで議論したりし,一言一言吟味し,校正を繰り返して書かれたものです。その熱意の結晶の一部を紹介します。
 「(前略)明日を共に過ごすはずだった人を失った人たちが,この世界のどこかにいるのです。本当にこのままでよいのでしょうか。願うだけでは,平和はおとずれません。色鮮やかな日常を守り,平和をつくっていくのは私たちです。一人一人が相手の話をよく聞くこと。「違い」を「良さ」と捉え,自分の考えを見直すこと。仲間と協力し,一つのことを成し遂げること。私たちにもできる平和への一歩です。さあ,ヒロシマを共に学び,感じましょう。(後略)。」
 今の小学生という自分達の置かれた立場で,何ができるかを考え,日々の学校生活の中で可能なことを提案している言葉に心を打たれました。平和は手の届かない遠くにあるものではなく,自分達の足下にこそあるもの,創ってもらうものではなく,自ら創るものだという思いが伝わってきました。
 2学期,この誓いの言葉にあるように「相手の話を聞くこと」,「違いを大切にすること」「一つのことをみんなで成し遂げること」を大切に本校でも教育活動を進めたいと思います。

令和6年9月13日 親が贈る子どもへの最高のプレゼント

 参観日後のPTA講演会は、盛矢澄香さんを講師とした表題の講演会が開催されました。講師の先生はアドラー心理学を基調としたカウンセラーの先生です。講演会でお話しされた内容は、「自分自身とどう関わるか」「自分を感情を整え、どうコントロールするか」「周りとどう関わればいいか」「子どもを勇気づける方法とは」など、親としての自分の在り様、ものの見方、考え方に始まり、子どもをどう見て、どう接して、どう声をかけていけば良いかという具体的な内容をグループで協議しながら進められました。
 仕事、家事、育児と忙しい日常のルーチンの中で、子どもへの接し方で迷い、戸惑い、悩むことは誰しもあると思います。自分の感情が整わない時の子どもへの対応で反省することも多々あると思います。そうした日常の中で、一旦立ち止まり、我が子との接し方、自分の有り様を振り返り、新たな知見を得る貴重な時間となりました。
 本校が行っているクラス会議の理念である「自分のことが好き、まわりの人は仲間だ、誰かのために役に立つ喜びがあるコミュニティーを作る」という共同体感覚についてのお話しも納得しました。
 先日、ラジオを聞いていて、「次に生まれ変わるとしたら何に生まれ変わりたい?」というMCの質問に対し、「今の記憶を持って、また自分に生まれ変わりたい」と答えた人がいました。そういう回答ができるようになりたいと思うと同時にそう思える子どもを育てたいと感じることができる時間となりました。
 暑い中、参観日、講演会にお越し頂き、ありがとうございました。

令和6年9月1日 第2学期のスタートです。

 2学期の始業式は,「自らの思いを表現することの大切さ」について,5年生の児童が書いた作文をもとに式辞を書きました。
 「私には今,一つの目標があります。それは,自分の意見をしっかりと持ち,伝えることです。私はもともと,引っ込み事案な性格で,小さいころから自分の意見を言うことが苦手でした。(中略)自分の意見に自信がなくて,間違っていると恥ずかしいと思っていたからです。(中略)けれど,5年生の今のクラスになってから,少し変わりました。今のクラスは私がまちがったことを言ったり,上手に言えない時もクラスのみんなは笑ったり馬鹿にすることなく,「がんばって」と声をかけたり,助けてくれるのです。そのおかげで,私は少しずつ発表が平気になり,自信がもてるようになってきました。まちがってもいい,下手でもいいと思わせてくれた先生やクラスのみんなには感謝してもしきれません。発表をするようになって,良かったことが二つあります。一つ目は,自分の意見を人に分かって貰えると嬉しいことです。自分の意見を言うと,自分らしさを発揮できて,自分を分かってもらえることで,とても気持ちが楽になりました。友達との信頼関係も深まった気がします。もう一つは,自分の考えをまとめるために,他の人の意見にもしっかりと耳を傾けられるようになったことです。自分と違う友達の意見を聞いて,自分で考えることで,考えや理解が深まるし,授業がもっと楽しくなりました。授業にも積極的に参加できています。(後略)」
 この作文は,この後,縦割り班活動の中でも勇気を出して伝えることができたことへと発展し,さらに今後,意見を伝えることに対する意欲が綴られえいます。
 表現できるようになったのは,もちろん自分自身の意欲と決意と勇気があったからこそです。しかし,その前提として,受け止めてくれる集団の存在を忘れてはいけません。2学期は,一人一人の「話す」力を鍛えていくために「聴く」力を一層高めていくことを職員間でも共有しています。
 式辞の最後に,「教室はまちがうところだ」という絵本を先生方に朗読してもらいました。間違うことを恐れない,間違いを学びのエネルギーに変えていくことができる学級を全校で創っていきたいと思います。

令和6年7月19日 「その一言で」

今日の終業式では,「その一言で」(高橋系吾作)という詩が大好きな小学生が書いた作文を紹介しました。

「その一言で腹が立ち その一言でがっかりし その一言で泣かされる
その一言ではげまされ その一言で夢を持つ ほんのわずかな一言が,
不思議に大きな力を持つ ほんのちょっとの一言で」

 この詩は,教育の世界だけではなく,あらゆる職種の方の心に響く詩として,引用されることが多い詩です。学校生活のそのほとんどが,「ことば」を媒介に成り立っています。どんな言葉を発して,どんな言葉を受け取るかで,喜怒哀楽の感情を揺さぶられ,最終的に人格形成に影響を与えています。人の成長は,自分が発した言葉,周りの人からもらった言葉で形作られています。
 今日は,1学期間の学習を「あゆみ」として,児童に手渡しています。担任は,一人一人と「ことば」を媒介に児童の成長を振り返っています。今日,各ご家庭に持ち帰りますので,どんな「ことば」で児童と対話されるか,「その一言」が大切だと考えています。
 43日間のお休みとなります。何より安全と健康管理に十分留意して,充実したお休みになることを祈念しております。1学期間,教育活動にご理解ご協力頂き,ありがとうございました。引き続き,どうぞ,よろしくお願い致します。

令和6年7月12日 体験が視野を広げる。

 台湾,金門縣の小学5年生との3日間の交流が終わりました。金門縣の場所を地図で調べると,中国の沿岸から10kmほどの場所にあり,台湾島とはかなり離れた場所に位置しています。面積は150平方㎞(ほぼ小豆島と同じ面積です。)に14万人の人が暮らしている島です。日比崎小へ児童を引率された校長先生の学校は1200人の児童に150人の教員で構成されているそうです。ほぼ日比崎小の3倍です。しかし,少子化の傾向は日本と同じだそうです。
 子ども達は交流中,折り紙の折り方,けん玉のやり方,駒の回し方などを伝える時には目線を合わせた非言語のコミュニケーションを無意識的に活用して伝え合っていましたが,思いや考えを伝える場面ではやはり,もどかしさを感じ,「共通言語」の必要性を感じたようです。台湾からは毎年日本以外にもオーストラリアなどの海外へ児童を派遣しています。視野の広い人材を育成することに力点が置かれていることが伝わります。日本の子ども達にもそうした機会を提供したいと切に感じた3日間でした。

 ※次の英文は英語委員会のメンバーが初日の歓迎会で考えた英語での挨拶文です。
 Hello everyone.
 Welcome to Hibizaki Elementary School in Onomichi City.
 Hibizaki Elementary School is a very nice place.
 Happy Friends activities, delicious school lunches, Nice friends.
 Let's enjoy with us.

令和6年7月5日 肯定的な前提で受容感を高める。

 今週は,警報による臨時休業から始まり,熱中症の危険を考慮する必要がある梅雨の晴れ間の週末を迎えました。人の気持ちも知らず知らずの内に天候に影響されることがあり,これは「気象感受性」と呼ばれています。
 さて,家庭で子ども達と接していると,不適切な言葉を使ったり,危険な行動をとったりする場面に直面し,親として叱らなければならないこともあるのではないかと思います。今週のような不安定な気候の時には,一層そうしたした機会も増える事でしょう。例えば,人を傷付ける言葉を使った我が子に投げかける次の2つの言葉を比べてみましょう。
 A:「何考えてるの。人を傷つける言葉を使うなんて,いい加減にしなさい。」
 B:「あなたも良く分かっているように,人を傷つける言葉を使ってはいけません。」
 このような場面では,発する言葉をじっくり丁寧に吟味する時間などなく,瞬発的に言葉を発してしまう事が多く,Aのように感情が先行し,威圧的な言葉になってしまうことも多々あるのではないかと思います。
 一方,Bは,「あなたも良く分かっているように」という肯定的な言葉が前提につくと,叱られている事には変わりがありませんが,その後の言葉を肯定的に受け止めやすくなります。視点を変えると,「上から目線」と「対等な目線」の違いとも言えるでしょう。
 大人でも子どもでも自分の事を大切に思ってくれているという感覚が伝われば,言葉を受容しやすくなるのは当然です。
 もう暫く梅雨の時期が続きます。終業式まで余すところ,2週間です。感情を天候に左右されないように,言葉を吟味して生活したいと思います。

令和6年6月28日 心の育ちをアウトプットする。

 先週お伝えした「ハピフェス」の開催後,4年生の児童が書いた作文を紹介します。

 去年から,ぼくの学校では,ハッピーフレンズ活動が始まりました。ハッピーフレンズ活動とは,友達との仲を深め,他学年との交流の機会を増やし,自分達で日比崎小学校をもっとよくしていこうという意味で始められました。その意味の通り,ハッピーフレンズ活動が始まってから,学年に関係なく,仲が良くなり,気軽にしゃべったり,友達になったりしています。(中略)
 今回のハピフェスを通して,僕は班の人と仲が深まりました。ぼくのようにハッピーフレンズ活動で友達が増えた人は,たくさんいると思います。たくさんの思い出もできました。僕たちが作ったくじを引いて喜んでいるお客さんを見て,本当に良かったと思っています。他の人も色々な遊びを考えて,活動をしていました。その人達も,ぼくと同じように,色々な準備をして,お客さんの表情を見て,色々な事を感じたと思います。この活動が始まってから,日比崎小学校の雰囲気は,ものすごく良くなっています。このような活動を考えてくれた6年生に感謝します。本当にハッピーフレンズ活動が出来て良かったです。
 これからも,みんなで,ハッピーフレンズ活動を大切にしながら,もっともっと僕の学校が楽しい場所になったらいいなと思っています。そうなるように,僕もみんなと力を合わせて頑張っていきます。

 関わりの機会と場と環境を整えることで,生まれる心の育ちがそこにはありました。

令和6年6月21日 マニュアルのないコミュニケーションが人を育てる。

 6月19日は「ハピフェス(ハッピーフレンズ活動フェスティバル)」の開催日でした。昨年度から立ち上げた異学年交流の活動の中で大切にしている行事の一つです。日常は毎日の掃除で一緒に活動しているメンバーが,0から出店のアイディアを出し合い,ルールの設定,説明文の作成,物品,景品の準備などを進めてきました。準備の過程で,考えを出し合った後,一つの意見に集約する過程で大切な力が「折り合いを付ける力」です。全員の総意が一致することは日常の中でもそれほど多くはありません。その時,少数派の意見を無視せず,配慮しながら,調整する姿勢は様々な場面で必要になります。
 また,当日は,決まった順序で来客が来るわけではありません。そのため,自ら営業活動をして集客する必要があります。さらに,高学年に対するルールの設定をそのまま低学年に流用することはできません。相手に応じたコミュニケーションを図る経験が生まれます。ペットボトルの蓋をボールに見立てたバッティングゲームを企画したチームの6年生が,なかなか打てない1年生に対し,自ら近寄り,打てるように配慮していました。厳格にルールを当てはめることもできたでしょう。しかし,ルールを超える相手意識がその行動を生み出しています。「ハピフェス」は授業中には見つけられない子ども達の「素敵」発見の機会となっています。

 ※写真は,当日,ゲームに参加させてもらった時の景品です。「特別サービスです!」と進呈してくれた折り紙景品に感謝です。

令和6年6月14日 「人」が先,「物語」が後。

 今週は,国語の授業の様子を紹介する記事が多くなりました。それは,今月を「国語科の授業づくり」を集中的に学ぶ月として位置づけているからです。講師の先生の授業を子ども達が直接受けるとともに,教職員はできるだけその授業の様子を見て学んでいます。物語文を中心に説明文の授業づくりも学んでいます。
 26歳で直木賞を受賞され,恋愛や推理をテーマにした小説を数々書かれ,テレビドラマの脚本家としても著名な「平岩弓枝」さんが,NHKの番組で話されていた言葉があります。「大事にしてきたのは人間を書くということです。『人間が動くから物語が生まれる。物語があって人間がいるんじゃない』という師である長谷川伸さんの言葉を大切に執筆活動をしてきました。」
 授業では,子ども達は当然,物語のストーリーを読んでいるのですが,その中に登場する人物の生き方やものの考え方を学び取っています。今までの自分が知らなかった考え方や人の生き様を知る事で,新たな自分を創りあげるきっかけになってもらいたいという願いがあります。そのためには,教師の教材研究,学級の対話的な風土づくりが大切です。授業では表面的なストーリーを追うだけの授業にならないよう,「人」に迫る授業づくりを私達は思考錯誤しながら目指しています。

令和6年6月7日 深く根を張る学級を創る。

 本日は,6月の参観日にご参加頂き,ありがとうございました。6月は全校で「クラス会議」を参観授業として実施致しました。なぜ,「クラス会議なのか」という問いに対する答えは,「クラス会議を通して,他者とともに生きる力を磨いてもらいたい」からです。
 例えば,「私達は平等である」「人はみんな違っている」「大事なことはみんなで決める」「全ての事には長所短所がある」「主張するときは相手の感情に配慮する」「他者を責めず,罰しない態度を学ぶ」「受け入れているという思いを態度で示す」など,人間関係を築く上で大切にしたいスキルはクラス会議を通して学ぶことができるからです。そして,最終的には「私には私に寄り添って考えてくれる仲間がいる。」という感覚を一人一人に感じ取ってもらいたいと願っています。
 先日,ニュース番組で,北広島町の米農家の方のインタビューを聴く機会がありました。「わさの舞」という新しいブランドを立ち上げて,「全日本お米グランプリ」に出品した結果,グランプリに輝いたというお話でした。「何に一番力を注がれていますか」という記者の質問に対する答えは「どのような過酷な環境でも耐えうるよう,根が張れる土壌を作ることです。」というものでした。育つ環境に着眼されていることが印象的でした。
 私達教育者にとっての土壌づくりは「学級経営」です。どんなに良質な指導案を作っても,教室内の児童の関係性が醸成していないと対話は続きません。お互いの違いを認め,受容できる関係性の中でこそ,健全な批判や建設的な反論が交換されるのだと思います。
 今日の「クラス会議」の授業公開も,深く「根を張る」ための一つの実践方法です。

令和6年5月31日 教師に求められる「信頼」を獲得する

 明日は,上越教育大学教職大学院の赤坂真二先生をお迎えして,自主公開研究会を開催します。昨年度から全校で導入している「クラス会議」を提唱されている方です。まだ1年間に満たない実践ですが,実践を継続する中で,子ども達に「自律性」や「協働性」を生み出す可能性を秘めていることを,実感してきているところです。
 赤坂先生は,その著書の中で,「教育活動は,子ども達が自分の能力を開発するという目的に向かう探検であり,その行き先は教育活動というジャングルだ。この探検には案内役を果たす信頼できる人が必要であり,それが教師の役割だ。」と述べられています。まさに教師と児童を,児童と児童を繋ぐ「信頼」が学級経営の接着剤だと考えます。
 そのため,明日は改めて,「教師が信頼を獲得するためにはどうすれば良いか」という視点とともに,「クラス会議」の理論や価値を参加される他校の先生方とともに学び,子ども達に還元していきたいと思います。

 ※クラス会議については,保護者の方には6月の参観日で公開する予定です。

令和6年5月24日 振り返りで,価値を心に刻む。

 5年生は野外活動の2日間を終えて,今日の1時間目は活動の振り返りをしました。普段の学校での生活とは全く異なる環境の中での活動ですから,数多くの学びがあったのは確実です。全ての活動に共通しているのは,「共同体感覚」です。この言葉を覚えることが大切ではなく,子ども達には,「自分のことだけを考えるのではなく,他の人にも関心をもち,友達を仲間だと考え,そこに自分の居場所を見つけること」が大切だと伝えています。そのために大切なことは,「関わる,感謝する,応援する,貢献する。」という4つの視点です。2日間の活動にはこの4つの視点が全て盛り込まれていました。そのことを今日の振り返りで発見してもらいたいと考えていました。5年生にとっては,ええじゃんSANSAがりへの出場に続き,野外活動と連続的に行事が重なったことは,今後の課題ですが,1年間の学年づくり,学級づくりにこの経験は確実に還流していくと思います。
 「出会いと環境が人を育てる」と言われます。また,一流の農家の方は,「私が育てた野菜です。」とは言わず,「私の畑で育った野菜です。」と答えます。子ども達が自ら育つ教育環境という畑を作るのが私達の仕事です。主役は子どもです。

令和6年5月17日 体験が育てる非認知能力

 大学時代に10日間程の日程で,サークルのメンバーと山岳を縦走した経験があります。寝食を共にし,天候や体調,コースの妥当性など様々なことを考慮しながら,トラブルを乗り越え,頂きに立った時の喜びや完走した時の達成感は40年近く月日が過ぎた今でも記憶に鮮明に残っています。自然の雄大さに心奪われるとともに,目標を同じくする仲間との関係づくりにおいて,今に繋がる価値ある体験となっています。
 来週,5年生は1泊2日の野外活動を予定しています。仲間とともに生活,遊び,食事,お風呂,睡眠など全ての行動を共に行うこの行事は自然体験を通して,人との関わりにおける「非認知能力」を高めることにあります。「非認知能力」とは,「目標を決めて挑戦する」「興味を持つ」「新しい発想で問題を解決する」「周りの人と円滑なコミュニケーションをとる」といった数値では測ることができない力のことです。活動の中では,自分の思いや考えを相手に伝える,相手の考えを受け入れる,折り合いを付ける,調整する,決断する,人の力を借りる,試行錯誤しながら挑戦を続けるなどの機会がたくさんあります。これからの人生を豊かにする上でとても大切な能力を鍛える場となります。
 日本の子ども達は,「自己肯定感が低い。」ということは様々なメディアで言われていることです。しかし,これは子ども達が自ら体験して獲得していくものです。だからこそ,学校では「体験の場」を重視しています。

令和6年5月9日 凸凹道で鈴を鳴らす。

 星野富弘さんという画家がお亡くなりになったことを先日知りました。もともとは中学校の先生でしたが,クラブの指導中に頸椎を損傷されて,身体の自由を奪われました。しかし,絶望の淵から口で筆をくわえて詩画を書くことにより,生きる道を切り開かれた方です。
 「わたしは傷を持っている。 でもその傷のところから,あなたのやさしさがしみてくる」
 「辛いという字がある。もう少しで幸せになれそうな字である。」
 など,背負っておられる背景が分かるからこそ共感できる言葉が数多くありました。
 野の花を好んで書かれていましたが,電動車椅子ではガタガタ揺れて苦手だったそうです。しかし,ある時,鈴を椅子にぶら下げると,その音に癒やされて,以後凸凹道が楽しみに変わったと言われていました。人生も学校生活も凸凹道だから鈴が鳴るのです。
 著作権の関係で詩画は掲載できませんが,富弘美術館のホームページのリンクを貼っておきますので,よろしければご覧下さい。一度は訪れたい美術館です。

令和6年5月2日 ソーシャルサポートで「素敵」発見!

 今年の春の遠足は,縦割り班での遠足を企画しました。本来は1年から6年までが揃った班で,全員同じ場所に出かけたかったのですが,候補地が見つからず,苦肉の策で3分割での実施でした。しかし,結果として,このことが,6年生のみならず,5年生も4年生もリーダーとして活躍する機会が生まれました。正しく「どっちに転んでもシメタ!」です。
 縦割り班での実施を試みたことには,教育的な意図があります。それは,子ども達同士で「ソーシャル・サポート」を発揮させたいからです。この「ソーシャルサポート」には4つの側面があります。一つ目は,人に対して「共感をしたり,関心を向けたり,悩みを聞いたりする「情緒的」なサポート,二つ目は,物をあげたり,貸したりする「物理的」なサポート,三つ目は,問題の解決に役立つアイディアやアドバイスを与える「情報的」なサポート,そして,四つ目は努力したことや貢献したことを評価したり,感謝を伝えたりする「評価的」なサポートです。これらのサポートが縦割り班での活動の中では交換される機会が明らかに増えるからです。
 助け・助けられる,配慮し,配慮される経験をすることが,居心地の良い,自分の居場所を感じられる場としての「学校」を創ることに繋がります。
 晴天に恵まれて,数多くの「素敵」が生まれた一日となりました。

令和6年4月27日 みんな違って,みんないい。

 1年生が,入学して3週間が経過しました。今日は今年度最初の参観日,1年生も張り切って授業に参加していました。
 春を彩る花々も次第に入れ替わり,新緑の季節に変わってきました。正門前のチューリップも花を落としています。童謡の「チューリップ」の歌は,「咲いた咲いた」で始まり,最後に「どの花見てもきれいだな」という歌詞で終わります。このフレーズには,作詞家の近藤宮子さんの「いろんな色のチューリップがあるように世界にはいろいろな人たちがいます。どの色のチューリップも綺麗なようにどんな人にもきれいなところがあります。誰かの揚げ足を取ったり,あら探しをしたりするのではなく,お互いのきれいなところを認め合う世の中になれば生きていて楽しい人生が待っていると思います。」というメッセージが込められているそうです。
 チューリップは種から育てると花が咲くまでに5~6年かかり,花の色も咲いてみないとどの色になるか分かりません。しかし,球根で育てると短期間に花を咲かせることができ,しかも永遠に同じ色の花を咲かせることができます。チューリップは私達人間がもつ,効率を求め,同じ色彩の美しいものを並べたがるという性質を知っているのかは分かりませんが,その性質を利用して,生存戦略を図ってきました。
 しかし,学校はチューリップの戦略には乗らず「みんな違ってみんないい。」をめざします。時間はかかっても,様々な色が混じり合う学校でありたいと願っています。
 ※参考引用「植物に学ぶ生存戦略」NHK(2021年 2月11日放送)

令和6年4月19日 未来への意思表示

 「どの港に入るのか分からなければ,どの風も追い風にはならない(セネカ)」という言葉があります。この言葉は,逆説的に読めば,私達に「目標を定めれば,周囲の力を応援に変えることができる」と読み替えることができます。
 目標を立てるという行為は,特段目新しい行為ではありません。どの学校でも行っていることです。しかし,往々にして目標を立てた瞬間に忘却曲線の波に乗って忘れ去られ,以後単なる「飾り」として存在してしまうことも多々あります。
 そうした反省も踏まえて,今年度は,全校で始業式から1週間は先生が示した仮の学級目標で過ごし,新しいメンバーと1週間過ごした後に学級目標を定めるようにしました。
 目標を定めることが,未来の自分に影響を及ぼすことになるように,時期を見て,次の5点のポイントで評価をしてみることを検討しています。それは,(1)具体的かどうか(Specific),(2)計測することが可能か(Measurable),(3)達成可能なものか(Achievable),(4)自分達の実態に合っているか(Relevant),(5)常に意識に存在するか(Trackable)という5点です。英語の頭文字をとって「SMART」です。
 1年間共に過ごす学級をどう作るか,どう創造するか,未来への意思表示としての目標づくりを大切にしています。

令和6年4月12日 出会いは宝

 「私は日比崎小学校に転校してきて良かったです。クラスのみんなの名前はまだ,覚え切れていないけれど,昨日たくさん友達ができました。頑張ります。」
 これは,入学式の雨の降る朝,いつものように正門の近くで挨拶をしている時に,今年から日比崎小学校に転校してきた児童が,近くに寄ってきて話してくれた内容です。
 「出会いは宝」です。きっと児童玄関でクラス分けの一覧を見て,教室に入るまではドキドキしていたことでしょう。しかし,その不安な気持ちが和らぎ,期待感と喜びへ転換していったのは,きっとクラスの仲間との出会いの力によるものでしょう。
 「私には私の居場所がある。私のことを大切に思ってくれる人が近くにいる。」そういう感覚を学校に通う全ての児童が感じられるようにすることが,「学校」の存在意義の第一義です。
 雨の降る入学式でしたが,心の中は,爽やかな出会いの風が吹き込んできていました。

令和6年4月1日 令和6年度のスタートです。

 令和6年度は456名の子ども達をお預かりし,教育活動をスタート致します。学校教育目標である「夢や目標をもち,ともに高め合う子どもの育成」を掲げて教職員一同,協働的に学校教育活動を推進して参ります。
 本校の学校教育目標である「夢や目標をもつこと」という言葉には2つの要素が組み込まれています。一つ目は毎年6年生が実施している英語によるスピーチコンテストや,4年生が行っている「二分の一成人式」での決意表明に象徴されるように,自分の将来の姿や達成したい目標を描くことは人生に羅針盤を持つことに繋がります。二つ目は「ともに高め合う」ということです。「人は人の中で人になる」という言葉に象徴されるように多様な人と関わり,影響を受け,影響を与えられるかが,人格を創り上げていくためには大切だと考えています。オンラインではなく,学校という「実の場」に集まることの最大の意義はここにあると思います。
 しかし,綺麗で美しい言葉を飾るだけになっていないか,抽象的な言葉に溺れていないかを良く吟味し,「子どもの姿」で教育活動の成果を証明できるよう具体的な教育活動を展開できるように取り組みます。
 また,昨年度より,日比崎小中学校区は「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」として,連携して学校運営に取り組んでいます。コミュニティ・スクールは,学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能になる仕組みです。昨年度も,学校の教育活動に様々な領域で地域の方々が関わって頂きました。まさに「地域とともにある学校」へと転換しつつあります。中学校区が1中学校,1小学校であることを利点としえ捉え,9年間を見通した子どもの育ちを描いていきたいと思います。
 そのためにこれまで以上に密接に保護者の皆様,地域の皆様と協働して特色ある学校づくりを進めたいと思いますので,ご理解ご協力をよろしくお願いいたします。地域の宝でもあり,未来の宝でもある子どもたちをともに育てていきましょう。ご理解ご協力をよろしくお願い致します。