Syakuya-syoji 杓屋小路(しゃくやしょうじ) |
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ここは、杓屋小路・別名・かない小路と言う小路です。 | ||
昔話 「かない町・かない小路」 |
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この小路の別名『かない小路』の名前の由来となった昔話があります。この小路の通りにある一軒の家がありました。その家には、おかみさんと赤ん坊が住んでいました。この通りには昔から蚊がたくさんいました。おかみさんは、赤ん坊に付く蚊を扇いで追ってやります。 「ごめんください・・・。」 と玄関から声がしました。おかみさんは返事をして玄関に行きました。そこには旅人がいました。その旅人は、 「一夜泊めさせてくださいませんか。」 とていねいに頼みました。 「泊めさせてあげたいのは、やまやまじゃけどのう。この蚊じゃったらあんたさんもゆっくり休めんけぇ、どっかちっとでも蚊が少ない所に泊めさせてもろうてください。」 とおかみさんはいいました。そして旅人の顔や胸のあたりに近づく蚊を追ってたりしていました。部屋で寝ている赤ん坊は、蚊に刺され泣いています。 「ほれほれ赤ん坊の蚊を追ってやってください。」 と旅人は言うと、おかみさんは 「赤ん坊は毎日のこと、少々大丈夫。じゃがあんたさんは旅のお方、蚊に刺されんうちにどうぞよそへ行ってください。」 と言ってあいかわらず周りの蚊を追っていました。 「そうですか。蚊がそんなに多いとは・・・。」 「そりゃあもう蚊さえいなけりゃ、あんたさんに泊まっていただくんじゃけど・・・」 「蚊がいなかったらいいと言うのですね。」 と、旅人は言いました。そして一夜の宿はあきらめて立ち去りました。 「すみませんのう。蚊がおらん宿がありますように・・・」 おかみさんは、旅人の後姿に深々と頭を下げました。おかみさんが頭を上げると、なんと旅人の姿は黄金の光に包まれて静かに遠ざかっています。おかみさんはおもわず、 「ああもったいない。もったいない。」 と手を合わせました。おかみさんがわれにかえると赤ん坊の声が聞こえないのでわれに返ると赤ん坊の泣き声が聞こえません。うちわを持って赤ん坊のそばにかけ寄ったおかみさんは、ハッと息をのみました。赤ん坊は気持ちよさそうに静かな寝息をたてています。手足にとまっていた蚊は一匹もおらず、ブーン、ブーンと耳につくいやな音もありません。おかみさんは旅人の行く手にいつまでも手を合わせていました。旅人は、きっと弘法大師にちがいないと思いながら。 その日から、杓屋小路には一匹の蚊もいなくなったのです。蚊がいないから蚊無い町・蚊無い小路、願いが叶ったから叶町・叶小路ということで、杓屋小路あたりを『かない町』とも呼ぶようになりました。 昔、杓屋さんがたくさんいたことから『杓屋小路』とも呼ばれるようになりました。 |
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