トップページの校長のコラム内容を記録として掲載しています。

Weekly Letters

令和6年3月25日 誰かの勇気を支える

 6年生の卒業文集の中から印象に残った作文を紹介します。
 「私は昔から人との会話でが苦手で,いつも『発表中に言葉に詰まってしまったらどうしよう。』「間違えてしまったらどうしよう』と思って発表を避けていた。今思い返せば,4年生の時の「発表できない』は「発表したくない』だったことに気付いた。6年生になり,変わらず発表はしなかったが,中学生になるのに,このままでは将来に影響するのではないかと思い,発表を頑張りたいと考えるようになった。班の話し合いでは,何とか自分の意見を伝えられるよう努力したが,やはり全体の交流の時間では,発表することはできなかった。そのため,クラス会議に議題として挙げてみた。その会議の後,クラスのみんなが反応を意識的にしてくれるようになった。そのおかげで,少しだけ自信を持つことができ,自分から手を挙げて発表できた。相変わらず,国語や道徳などの答えがない問題は苦手なままだけれど,1度だけでも,自分から発表することができた。間違いを恐れなくていい,苦手でもいい,まずは挑戦してみることが大事だということに気付いた。」
 自分が変わりたい,挑戦したい,そういう意欲が生まれた時,その思いを実現させるのは仲間の力なのです。「誰かの勇気を支える」そのことが,自分の勇気を新たに生み出すことにつながります。そのことを教室の中で体感している様子が良く伝わります。
 学級は自分を成長させる場です。そういう教室を創り出す「学級経営」を次年度も目指します。保護者の皆様,地域の皆様,1年間の教育活動にご理解ご協力頂き,ありがとうございました。

※写真は,5年生が学級のみんなに向けて書いていたメッセージの一部です。

令和6年3月22日 晴れの門出を祝います。

 今日は,晴天の中,第66回卒業証書授与式を開催しました。コロナ禍の期間中は,代表児童のみに証書を手渡すことしかできませんでしたが,今年度は一人一人に手渡すことができました。
 卒業式の前日,6年生の児童から嬉しいお手紙を頂きましたので,紹介します。
 「校長先生,約1年間ありがとうございました。私は,毎日,学校のホームページを見ることが楽しみでした。学校を休んだ日もホームページに6年生のことが書いてあると何をしたのかが分かり,安心しました。また,ホームページを見ることで,今まではできなかった新しい考え方ができるようになりました。だから,ぜひ,これからも続けて欲しいです。私は中学校に行ってしまうけれど,また,ホームページを見てみたいと思います。私たち6年生が卒業した後も日比崎小学校が今よりもっともっと良くなることを願っています。体調には気を付けて,これからも頑張ってください。改めて1年間,ありがとうございました。」
 1年間,学校での「日常」を届けること,教育活動の「意図」をお伝えすることを意識して継続してきました。そのことが子供達へも届いていることがとても嬉しく思います。次年度も「続ける」エネルギーを貰いました。
 改めて「卒業おめでとうございます。」そして「ありがとうございました。」

令和6年3月15日 願いを具体で「行動化」させる。

 来週に卒業証書授与式を控え,今日は5,6年生の合同の練習の日でした。式典の流れに沿いながら,ポイントポイントで振る舞い方の練習を重ねてきています。体育館の黒板には式の練習に入る前に,「どんな式典にしたいのか」という思いいや願いが記されています。そして,その思いや願いを実現するための具体的な行動内容が併せて記されていました。
 行事やイベントを開催する際には,常にこの「目的」と「目標」を児童に問い返します。「何のために?」「誰のために?」「それを実現するとどんな良い事がある?」という問いかけを通して,行事やイベントの意味や価値を見いだし,「心配されることはある?」という問いにより,運営上の課題を表出させていきます。
 その際,大事なことは,「思いや願いを実現するためには具体的に何をどうするか」を一人一人の児童に考えさせることです。具体に落とし込む作業を丁寧に行うことが重要です。「堂々とした」「笑顔で明るい」などの美辞麗句を並べ立てただけでは実際には何も変わらないことが多いものです。
 「教育とは愛なり,愛とは具体なり」という言葉をいつも思いだし,思いや願いを実現するための「具体的な方策」を複数考え,提示し,実践に繋げていくことを大切にしています。
 来週,3月22日(金)に卒業証書授与式を開催します。保護者の皆様,ご来賓の皆様,ご来校をお待ちしております。

令和6年3月8日 「見えない」ものが見えますか?

 下級生から貰った手紙をじっと見つめている視線,しゃがんでペンダントの贈り物を首にかけてもらっている様子,はぐれないように背中側から回って,寄り添っている様子,これらは,「6送会」で見つけた,子ども達の姿です。全ての場面に目には見えない「つながり」が見えます。
 学校は,同年齢で集団を構成することを基本としています。同世代だからこそ共有,共感できるものがあることも事実です。そのことを否定するつもりはありません。しかし,この横軸の関係性に縦軸の異年齢集団を仕組むことにより,子ども達の視線が水平視線から垂直視線へと確実に変わってきます。強がって斜めに構えていた児童が,低学年に甘えられて,見せたことのない表情を見せる瞬間を今までも数多く見つけてきました。
 私達教職員は,目に見えないものに価値を見いだし,見えないものを見ようとする姿勢が必要です。そして,見えないものが見えた時に喜びを共に感じたいのです。
 願っているだけでは,育ちません。育つ環境,育つ機会,育つ経験をいかに創るか,そして,見えないものを見つけようとすること,それが仕事でもあり,楽しみでもあり,喜びでもあるのです。

令和6年3月1日 「反抗期」は大人が作る。

 「最近,うちの子は反抗期で困る。」という保護者の悩みの声を担任は個人懇談などの機会で聴くことがあります。いつの時代も聴かれる悩みの一つです。そして,この悩みに対しては「誰もが通る道,思春期だから仕方無い。」という回答が王道かもしれません。
 先日,石田勝紀さん(教育者,コメンテーター)のブログ等を拝見する中で,次のような文面に出会い,とても共感した部分がありましたので,紹介します。
 「反抗されるということは,親が反抗されるような言い方をしているからかもしれません。思春期までは,反抗するという概念がなかったから,嫌々でも言うとおりにやっていただけで,以前から反抗したいと思っていたかもしれない。ようやく反抗することができるように成長したのではないでしょうか(要約)。」
 大人は「子どもは親の言うことは絶対聴かなければならない。」という意識が無意識的に働き,「指示,命令,説得」的な言葉になって,子ども達に伝えているのではないかと過去の自分の対応を振り返り,内省しました。
 「反抗は,自我が芽生えた子ども達から自分への対応をこれまでとは変えてもらいたい,一人の人格をもった人間として扱ってもらいたいというメッセージだと受け止めることで,対応が変わってくるのではないでしょうか。(石田勝紀さん)」
 学校でも子ども達は悩みやトラブルと遭遇します。その時は,「どうしたの?(自分の困り感を言語化させて共感する)」「どうしたい?(意志の確認,選択,決定)」「何か手伝えることはない?(支援の要求)」という3ステップを意識した対応を心がけています。人として共感する姿勢で,伴走するように接しています。そのためには,常に子ども達の微妙な表情の変化や様子に気づき,最初の「どうしたの?」と声がかけられるよう,感性のアンテナを磨く必要性を強く感じています。

令和6年2月22日 文章に綴り,自分の「心」を再発見する。

 本日,「二分の一成人式」を開催しました。式典では各学級の代表,3名の児童が作文を披露しました。3人とも緊張した面持ちでしたが,自分の伝えたいキーワードを強調しながら,発表することができました。その中から一人の児童の作文を紹介します。

「ありがとうお母さんお父さん」
 ぼくは,今までお母さん,お父さんがぼくにしてくれたことを考えてみました。毎朝ご飯を作ってくれる。勉強を教えてくれる。旅行に連れていってくれる。一生懸命仕事をしてくれる。ぼくは,そんなお母さんお父さんのことが大好きです。お母さんがぼくに優しくしてくれた時,いつも心の中で「一生懸命産んでくれてありがとう。」と思っています。時にはイライラすることもあるけれど,毎日がんばって楽しく過ごせています。
 ぼくは,将来,薬剤師になってお母さん,お父さん,そして尾道に住んでいる人を助けたいです。それは,学校が終わってお母さんが仕事をしている薬局に帰った時,お母さんが患者さんに優しく分かりやすく薬のことを伝えている姿を見て憧れたからです。
 最後にいつもそばにいてくれてありがとう。これからもよろしくお願いします。

 文章に綴ることは,自分自身の心の再発見です。普段は忙しくて気付けない,身近であるが故に面と向かい合っては言い辛い,けれども確かに宿っている心の中の思いを素直に表出させることができます。10歳を節目に自分の成長を確かめ,家族へ思いを伝えることができた1日となりました。

令和6年2月16日 つながりの糸が,「応援,感謝」を行動化させる。

 毎日のように1年教室に行っては,朝の準備を手伝ったり,見守ったり,遊び相手になったり,給食時間には配膳のお手伝いをしたりする中で,今年の6年生は「1年生プロジェクト」という名称の自主的関わりチームを作って,1学期を過ごしてきました。そのことに端を発して生まれた「ハッピーフレンズ活動(異学年交流)」を通して,関係性はさらに深まっていきました。
 写真の児童は,今年のスピーチコンテストで代表戦に出場し,見事なパフォーマンスを披露しましたが,入賞には至らず,悔しい思いをしていました。そんな姿を見て,今まで関わりを深めてきていた1年生の児童が自分達で「オリジナル賞状を渡したい!」と考え,サプライズで表彰式を行いました。その時の思いは6年生児童の中で温められ,今度は長縄大会で頑張った1年生にオリジナル賞状を渡す行動に繋がっていきました。
 学校の中には,「見えないつながりの糸」が生まれては消えたり,一層太くなったりするなど複雑に張り巡らされています。その糸は「自分の事を大事に思ってくれる人がいる。」という感覚が原糸です。つながりの糸の太さ,強さこそが,「誰かのために何かをしたい」という思いを行動に発展させていくのだと思います。

令和6年2月9日 「熱意」は内容と技術を超える力をもつ

 今日は,第6学年の外国語による「スピーチコンテスト」本番の日でした。予選会を各学級で行い,14名の児童が本番に臨みました。5年生と4年生が観客です。尾道市教育委員会から4名のALTを迎え,JLT(日本人の外国語指導教員)と校長を加えた6名が審査員となりコンテストを開催しました。14名の児童はそれぞれ,予選会の時よりも内容をバージョンアップしたり,ジェスチャーを工夫したりするなど,ステップアップしたスピーチを展開しました。その場の状況に応じて外国語でアドリブを加えながら展開している姿は本当の意味でのコミュニケーションだと感心させられました。しかし,「外国語」で培ったコミュニケーションの力は,外国語という特別な言語環境の中でのみ展開されるものではなく,日常生活,授業中,友達との関係性の中で活用,応用,発展させてこそ本当の価値があります。
 コミュニケーションを成立させるためには3つの要素があると言われます。一つ目は伝えたい「内容」があること,二つ目は伝えるための「技術」を習得していること,そして,最も大切な三つ目は伝えたい「熱意」があることです。熱意は内容や技術を超える力を持っています。
 本校では,学級経営を土台として,国語と外国語の両面から児童のコミュニケーション力,そして「対話」する力を高める取組をこれからも展開していきます。フロアーで見ていた5年生は来年は自分達が舞台に立っている姿を想像しながら聞いていたことでしょう。近い未来の自分の成長を描いて,果敢にチャレンジしてもらいたいです。

令和6年2月2日 「緊張感」を肯定型で受け入れる。

 今日は,6年生のスピーチコンテストの予選会でした。全員が1分間程度の英語でのスピーチを披露しました。黒板の前では,緊張した面持ちでスタートの合図を待っている様子が伺えました。
 「人はなぜ緊張するのか?」,その問いの答えを簡単に述べると「非常事態に対して自分の身体を守るため」です。胸がドキドキするのは,「呼吸の数を増やして,酸素をより多く取り入れて,脳や身体を活性化する」ためです。身体が硬直するのは,「筋肉を固くさせることで普段よりも強い力を発揮させる」ためです。適度な緊張感は,集中力が高まったり,頭の回転を良くしたり,強い力を発揮できるなどのメリットがありますが,過度の緊張感は誰もが避けたいところです。
 自分で「自分が緊張してきた」と自覚してしまうと,その緊張感から逃れようとすることに意識が向かい,その結果,余計に緊張感が増してしまうことがあります。「緊張しないようにしなければいけない」と否定型で考えれば考えるほど,「緊張」している自分のイメージが頭の中を占めてしまいます。そういう時は,緊張している自分を素直に認めて,本来の目的であった「考えてきたスピーチを落ち着いて伝えよう」という肯定型で意識の方向を変えることができれば気持ちを落ち着かせることができるようになります。
 子どもだけではなく,校長という仕事をしている私自身も今でも緊張します。これまで幾度となく人前で話をする機会がありましたが,いつも「何か一つでもいいので,心に残り,役立つ内容が提供できれば良い。」と意識を変えて,頷いて聞いて下さる方に視線を合わせて,話しています。そうすると,次第に平常心になり,落ち着いてきた経験があります。「聞き手」が「話し手」を育てるということを,いつも感じていました。
 来週の金曜日,各学級で選出された7名が,本番の「スピーチコンテスト」に挑戦します。適度な緊張感を素直に受け入れて,チャレンジしてもらいたいです。

令和6年1月26日 研究の成果は,「子ども達の姿」で証明される。

 今朝,食事をしながらテレビを見ていると,あるコマーシャルに心が奪われました。鉛筆で絵を描いている場面で,消しゴムが大きくクローズアップされ,次の瞬間,次のフレーズが聞こえてきました。
 「消しゴムは,間違いを消すためのものではなく,光を与えるものだ。」
 思わず,なるほどと感嘆させられました。ものごとを一面的に捉えるのではなく,見方を変えることの大切さに気付かされました。学校という場面に置き換えてみると,例えば,学級経営は,「学校や学級の共通の決まりを守らせるための仕組みづくりという側面だけではなく,子ども達一人一人が自分には関わってくれる仲間がいると実感でき,居心地が良いと感じられるための仕組みづくり」であって欲しいと思います。多面的に見て,本質を探る姿勢が欠かせないと感じた朝でした。
 さて,今日は,今年から始めた教育研究の初年度の「授業公開」の日でした。「人と繋がる力」を培うことを基盤として,国語科,外国語科を公開しました。参観された先生方のご意見をもとに,修正が必要な部分は「消しゴム」で修正し,新たな「光」を見つけ出したいという思いです。
 常に教育研究の成果は「子ども達の姿」で証明するというスタンスを堅持しながら,職員とともに研鑽を続けます。ご指導頂きました先生方,ありがとうございました。

令和6年1月19日 私たちのアイディアで「自主的,主体的」な楽しい学校を創る

 今週の木曜日に開催したハッピーフレンズ活動(異学年交流)は卒業を控えた児童会のメンバーが企画したものです。「議題ボックスを設けて,みんなの課題を解決する」という児童会の公約を果たすものの一つです。また,このイベントは誰かに「やれ!」と言われて企画したものでもなく,去年の実践をなぞっているものでもありません。0ベースからの発案です。
 学校は年間のカリキュラムを決めて1年をスタートします。しかし,こうした児童自らが「やりたい!」という思いで発案したものを実現させる余白を常にもっておくことが大切だと思っています。学校が楽しい場所になるためには,「自分達の発案が実現できる場」であることが必要条件です。その上で今回の企画も児童の提案に対し,想定される課題を子どもに返しながら再提案を繰り返し求めて実現させています。乗り越えられそうな小さなハードルを与えて,乗り越えられた体験を創り出すためです。その分,実現できた喜びも大きくなります。
 教育の分野は「自主的,主体的」という言葉で溢れています。その言葉を使っていることで満足していないか,具体的に実現に結びつく取組をしているか,自主的,主体的な子供の姿を具体的に描いているか,自問自答しながら,教育活動を営んでいます。
 「こんな企画をしたいです。」と子ども達が校長室を訪れてくることをいつも期待しています。

令和6年1月9日 「当たり前」を見直し,「感謝」の思いを抱く

  令和6年元旦に北陸地方で大きな災害が発生しました。多くの方が亡くなられ,ご冥福をお祈り致します。また,現在も懸命な捜索活動が行われていることを踏まえ,3学期始業式では,このことに最初に触れました。災害に見舞われた時,どんな状況なのかについて,知ってもらうため,13年前の東日本大震災の時,当時,1年生だった児童が6年生になり,震災を振り返って書いた作文を紹介しました。

 「何が起こったかさえ,分からない中,一瞬一瞬が,何分にも思える恐ろしい時間だった。2日目からは水,食料,ガソリンなど全てが長い行列の中で手に入れる必要があった。少し揺れるたびに津波を心配し身体が震えた。じゃ口をひねれば水が出る幸せや,スイッチをおせば,明かりがつく幸せを学んだ。しかし,そうした経験があるにも関わらず,日に日に学んだことに対する意識がうすれてしまった。だからこそ,これから生まれてくる子ども達に震災のことを伝える力を身につけたい。(要旨編集)」

 昨日も私達は電気のついたお部屋で,ご飯を食べたことでしょう。暖房が効いたお家で,お風呂に入ったり,暖かいお布団の中で静かに眠れたことでしょう。そして,学校に通い,友達に会い,始業式を迎えることができました。これら一つ一つの「当たり前」のことが,本当に当たり前のことなのか,この作文から問われました。「当たり前」だと思っていることに,「感謝」の思いをもつことができるようになるとともに,今,現在起こっていることに目を伏せず,関心を持ち続けることが必要だと強く思い,始業式で伝えました。
 3学期は,一年間の自分の成長を自分で実感する学期です。そして,進級,進学を控え,準備のための「0学期」だとも言えます。「仲間に関心をもち,感謝を伝え,応援し,誰かのために貢献する」という4つのキーワードを今だからこそ大切に3学期を過ごしたいと思います。保護者の皆様,地域の皆様,3学期もよろしくお願い致します。

令和5年12月22日 子どもの心を「言葉」で育てる。

 2学期の終業式では,一貫して言い続けてきた4つの視点,「関わる」,「感謝」,「応援」,「貢献」について子ども達と振り返りをしました。これは,子ども達にとって,学校が居心地の良い場となり,自分の居場所を見つけるために子ども達自身ができるアクションだからです。「居心地の良い学校は自分達で創ることができる。」という思いをもってもらいたいという願いでもあります。
 この2学期間,子ども達と接する中で,常に思い出した言葉があります。
 「人の身体は『食べたもの』で作られる。人の心は,『聞いた言葉』で作られる。人の未来は,『話した言葉』で作られる。」(北原照久)
 ある心理学の実験で,攻撃的な単語が並ぶ歌詞の曲を聴き続けると,その後,他者に対して攻撃的な振る舞いが増えたり,「努力」「勝利」「達成」「成功」といった言葉がたくさん織り交ぜられた文章を読んだグループでは,そうではないグループと比較すると,とにかく勝利すること,課題を達成することに通常以上に固守したりする特性が表れることが明らかになっています。つまりは自分の意思とは別の「無意識」の部分に言葉から影響を受けていると考えられます。そして,それらが繰り返させることで,最終的には人格の形成にも影響を与えていることに気付かされます。
 子ども達は学校と家庭,そして,多様なメディアによる「言葉の海」の中で生活しています。冬休み中,我が子がどんな「言葉の海」で過ごしているか,耳を澄ませて聞いてみてください。我が子の心は,「聞いた言葉」で作られています。我が子の未来は,「話した言葉」で作られていきます。

 保護者の皆様,2学期間の教育活動にご理解,ご協力頂きましたこと,心より感謝申し上げます。3学期も引き続き,よろしくお願い致します。少しばかり早いのですが,良い年をお迎え下さい。

令和5年12月15日 私の居場所がここにある。

 「私はこのたんぽぽ学級のことが大好きです。私はこの学級を『家族』のように思って過ごしてきました。それはここにいるみんなに支えられたからです。みんなのお姉さんとして頼りにされることがとても嬉しかったです。私はもうすぐ卒業してしまいます。だから,今度はお姉さん役はAちゃんがしてくださいね。きっと出来ると思います。みんなと離れるのは寂しいけれど,残りの3ヶ月間を大事に過ごします。」
 これは,「たんぽぽ学級」の調理実習後の振り返りの場面で,最後に全体を振り返って感想を述べた6年生の言葉です。用意された読み原稿を読んでいるのではありません。自分の言葉でリアルにその場で感じていることを伝えた生きた言葉です。
 今年,日比崎小学校では,「共同体感覚を創る」ことをキーワードに学校経営を進めています。簡単に言えば,「友達に関心をもち,仲間だと思い,そこに『自分の居場所』がある。」と感じられる感覚のことです。これは自然発生的に生まれるものではなく,教師が子ども達とともに創りあげるものです。
 冒頭の児童の言葉は,正にこの「共同体感覚」を象徴的に表した言葉だと心打たれながら,聞いていました。こうした思いを一人でも多くの児童が感じられるよう,教職員全員で教育活動を展開しています。

令和5年12月8日 原因は「能力」なのか,「努力」なのか

 学校は学期末でテストの時期を迎え,子ども達はテストを返却される機会が多くなっています。良い点数の時もあれば,なかなか思い通りの点数にならないことも多く,「どうせ,頑張ってもだめだ」,「もっと頑張れば良かった」など,返却時の反応も様々でしょう。
 しかし,この二つの反応には大きな違いがあります。前者はテストの結果の原因を「能力」だと捉え,後者は「努力」を原因と捉えている点です。能力を原因とすると,「自分は頭が悪いから,どうせ,次も良い結果は得られない」という学習に対する無力感に繋がります。一方,「努力」に焦点を当てると,「次は努力すれば良い結果が得られるかもしれない」とモチベーションを高める可能性が広がります。
 ぜひ,ご家庭でテストを持って帰った時の声かけを能力に焦点を当てることなく,結果に至った「努力」に焦点を当てた言い方に変えてみてください。例えば,「毎日こつこつ頑張っていたと思うけど,残念だったね。前回よりも良かったんじゃない。勉強の方法が難しかったかな?」などです。日々の努力の様子を見ているよ,自分の成長を縦軸で見ているよ,努力の方法に着目しているよ,という3つのメッセージを含めた言い方です。何気なく使ってる言葉がけ一つで子どものモチベーションに影響を及ぼします。言葉は,子どもの心を動かすエネルギーです。

令和5年12月1日 「意欲」を作る4つの調味料

 今日,開催した「持久走大会」,スタートラインに並んだ子ども達の心の中を探ってみるとおよそ4つの心の働きが複雑に絡み合っていることに気付きます。(1)「走ること自体が得意で好き」,(2)「過去の最高記録を塗り替えたいという目的や目標がある」,(3)「クラスのA君には絶対勝ちたい,負けたくないという競争心がある」,(4)「走るのが苦手で嫌いだけれど,走れと言われるから仕方無く走る」。この4つです。これら4つの要素が単独で存在しているのではなく,一人の人間の中に4つの要素が量的なバランスをとって存在しています。ものごとに取り組む「意欲を形作る4つの調味料」と言ったところでしょうか。
 「持久走大会」のようなスポーツでも勉強でも,(1)と(2)がメインで調整された意欲であれば,前向きかつチャレンジングな取組が期待できるのは容易に想像できます。ここで注目したいのは(3)と(4)の取り扱いです。(3)の競争心は「誰かより優位に立って,自分が他者よりも優れていることを誇示する」方向で利用すると危険です。そうではなく「ライバルを見つけ,お互いが触発しあって,双方が成長する」方向で競争を利用することが健全な成長を促すと思います。そして,(4)はできるだけ少ない方が良いのですが,一方で,やりたいことを実現するために「やりたくないけれど,やらなければならないこと」をできるだけ合理的かつ効率的にやり切る姿勢が持てるということは,自分らしく生きるために使うことができる時間の割合を増やすことに繋がる大切な調整能力だと捉えることもできます。「何かを実現したい」という夢や目標を持った子どもは少々の困難にでも立ち向かえることができるのです。
 子ども達は去年よりも今年,昨日よりも今日の方が確実に成長しています。縦軸で成長を見守ることができれば,良い面が必ず発見できます。「今日の持久走,何位だった?」と聞くのではなく,「今日の持久走,目標は達成できた?」と聞くことで,意欲の調味料のバランスも変わってくるのではないかと思います。
 寒空の中,保護者の皆様,またボランティアでご協力頂きました皆様,声援,拍手をありがとうございました。

令和5年11月19日「楽しませる」を楽しむ

 「遊び」は最も創造的な学習です。今日の「ひびフェス(子ども版)」は,縦割り班のメンバーでまずは「何をするか」を決め,みんなが楽しめる程度のルールや説明手順,会場の設営,準備物や景品を製作したりするなどの事前の準備が必要です。そして,当日は,集客のために呼び込みをしたり,ルールを分かりやすく説明したり,困っている人に対応したりするなどの調整力,対応力,表現力などが総合的に必要となる活動でした。
 今回の「ひびフェス」は子ども達がお客さんとして自分自身が楽しむことも当然大切にしていますが,それ以上に「友達が楽しんでいる姿が楽しい」という感覚を味わうことも目的の一つとしています。「人と協力する,感謝する,応援する,誰かの役に立つ」という4つの事を大切にするよう,子ども達には伝えていますが,言葉ではなく実践する場や機会が必要です。今日の「ひびフェス(子ども版)」はまさにその実践のための象徴的な機会となりました。
 前半,後半いずれも,普段の授業では見られない生き生きとした姿を数多く見ることができ,嬉しくなりました。「校長先生もやってみてください。」と積極的な勧誘に誘われて楽しいゲームを幾つもさせてもらい,手の込んだ折り紙の景品も頂きました。活動を始めて3カ月,確実に縦割り班の中に見えない「縦糸」が紡がれています。

令和5年11月11日 緊張感をバネに「世界共通語」を表現する。

 保護者の皆様,ご来賓の皆様,本日は,日比崎小学校の音楽発表会にお越しいただき,ありがとうございました。子ども達は多かれ少なかれ,「緊張感」を味わって今日を迎えました。この「緊張感」は自分に与えられた課題を克服しようとする前向きな気持ちの現れだと思います。だからこそ,「何とかできた」「やり遂げた」という達成感を味わうことができるのだと思います。緊張感を自分で調整して,乗り越えていく経験を繰り返すことこそが,成長のためのエネルギーです。
 演奏の時間はわずか15分程度ですが,子ども達はその何十倍もの時間を費やして今日を迎えています。どうぞ,その努力の経過に目を向けて,言葉をかけてもらいたいと思います。
 「音楽は,翻訳を必要としない世界共通語だ」と言われるように,多くの人の心を動かす力をもっています。それに加えて,我が子が演奏するということでより一層心に響く機会になったとすれば,嬉しく思います。
 また,音楽発表会も別の視点で捉えると,「集団づくり」としての大切な要素が含まれています。「他のパートを意識して,心を合わせる」という営みは,まさに人とともに生活する上で,大切にしたい要素です。
 今後も授業や行事など,様々な経験を通して,「人とともに育つ」経験を提供したいと思いますので,ご理解ご支援をよろしくお願い致します。本日はありがとうございました。

令和5年11月2日 秋色の主役

 学校の入り口のユリノキの木が綺麗な黄色に色づきました。ユリノキの木は葉が黄色く変わるので「黄葉」する樹木です。赤く色が変わる「紅葉」と「黄葉」とは仕組みが異なるそうです。ユリノキの木は夏場,葉緑素が主体となるので,緑が主体となりますが,それを支えるようにカロテノイドという黄色の色素が光合成を行って養分を作っています。しかし,季節が進み,葉緑素が壊れて緑色が薄くなってくると,これまで,寄り添うようにして存在していたカロテノイドが,表舞台に現れて,葉を黄色く染めていくのです。
 学校生活の中でも,国語や算数などの教科学習で発表したり,説明したりすることが得意な児童がいます。また,体育で俄然と力を発揮したり,図画工作で見事な絵を描き上げたり,習字で大人顔負けな見事な字を書いたり,野外活動でゲームの指導を見事にやりきったりするなど,舞台が変われば主役になる子ども達は次々と変わっていきます。
 季節が移ろい植物も紅く,黄色く,主役を交代するように,来週末は,「音楽」という舞台で子ども達が普段とは異なる配役で活躍します。日光が植物にとっての栄養を作るエネルギーになるように,子ども達にとっては拍手が何よりの栄養になります。多くの方のご来校をお待ちしております。

令和5年10月27日 「ことば」のいたわり

 芸術祭に向けた作文の原稿が各学年から起案で上がってきています。その中で,5年生の作文は「心に影響を受けたことば」というテーマで書かれているものでした。頑張りすぎて心が折れそうになっていた時,「無理しなくていいんだよ」という言葉に救われた経験など,「ことば」によって,心が軽くなったり,元気が出たり,悲しさが癒やされたりした経験が記されていました。
 写真は,向島町の神宮寺というお寺の掲示板に貼られていた言葉です。檀家ではないのですが,2ヶ月に1回程度,不定期で変わる「ことば」に癒やされるために立ち寄っています。写真の3行のうち,最後の1行「人に至るところ尽くすいたわり」の意味が最初,良く分かりませんでした。調べてみると「他の人々に対して,敬意を払って,親切や思いやりのある態度をもつこと」だと分かりました。
 5年生の子ども達は野外活動の際に「自分から仲間に関わる」「感謝する」「応援する」「自分の力を他の人のために使って貢献する」という始業式で話した4つのキーワードを常に意識して活動を進めました。今でも,教室で「覚えている?」と尋ねるとすぐに答えられるぐらい浸透していて嬉しくなりました。「人に至るところ尽くすいたわり」が感じられる学級は誰もが居心地の良い学級になると信じています。

令和5年10月20日 「懐かしさ」の香り

 「金木犀」が匂う季節になりました。街中を歩いていても,すぐに金木犀の匂いだと気付くほど,特徴的な香りです。金木犀には「リナノール」というラベンダーに含まれる成分が多く含まれているそうです。
 昭和大学医学部准教授の政岡ゆり先生が書かれていた記事の中に,日本の若年層の人に「懐かしい香りと聞かれたら?」という大規模な調査結果が記されていました。その中のベスト3が,金木犀と,畳,ベビーパウダーの匂いだそうです。
 医学的な調査の結果,視覚や聴覚は20歳前後の記憶と結びつきやすく,臭覚は6歳前後の記憶と結びつきやすいという結果があり,その幼少期の記憶が呼び戻されることから「懐かしさ」というキーワードに結びつくようです。音楽を聴けば,当時の出来事や感情が思い出されることと同じように,臭覚にもエピソード記憶があるようです。
 小学校生活の6年間の中,金木犀の懐かしい香りと結びつく良きエピソードを創造したいと思います。

令和5年10月13日 教師の「授業力」が子どもの学びの質を高める

 今週の水曜日は,筑波大学附属小学校の青木伸生先生に本校に来て頂き,1年生と4年生を対象に国語科の物語文の授業をして頂きました。授業ですから,予め授業の流れについては計画されて臨まれていますが,目の前の子供達とは初対面です。どんな反応が返ってくるかは予測が立ちません。しかし,そんなことは微塵も感じさせない様に,子供達の小さな呟きや発言の内容,ノートに書き込んでいる内容を捉えながら,自然な流れで授業が展開されていきました。授業の計画に熱意をもって取り組めば取り組むほど,計画した通りに展開してしまいたくなるものです。しかし,今日の授業ははあくまでも「子どもの気付き」が次の展開を決めているように思えるものでした。だからこそ,子ども達の発言が次第に核心に迫っていったのだと思います。自分の考えを大切に扱ってくれているという実感を子ども達も感じたからこそ生まれたものだと思います。
 子ども達も学び続ける必要があるように,私たち教師も学び続ける必要があります。必要があるという以上にそこにこそ,この仕事の楽しさ,喜びがあると思います。会場の都合で多くの学校に呼びかけることができませんでしたが,本校の職員はもちろん,ご参集頂いた他校の先生方にとっても学びの深いものになったと自負しています。子ども達にとっても良い経験になったと思います。こうした機会を数多く作りたいと思います。
 今後も,私たちは「教える力,学ばせる力」を磨けるよう,研鑽を続けたいと思います。

令和5年10月10日 リーダーになる覚悟

 先日,日比崎中学校の3年生に「リーダー論」「フォロワーシップ論」を5,6年生に語りに来て貰いました。その話を聞いて,5,6年生がお礼の手紙を書いています。
 「この前は,フォロワーについて話してくれて,ありがとうございます。私がこれから目指すフォロワーは,リーダーが困っていたら,今,自分が何をしたらいいのかを考えて行動することです。このことを頑張って行きたいです。(5年生)」
 「先日はリーダーシップとフォロワーシップについて教えてくださりありがとうございました。私は人前で司会をすることがとても苦手です。ハッピーフレンズ活動という縦割り班の活動も苦手でした。でも中学生の方が言ってくれた5年生に頼ったり6年生が自信を持って説明することが大事だなど,たくさんのアドバイスのおかげでハッピーフレンズ活動が楽しみになってきました。そのアドバイスをクラスや学年などのたくさんのところで活かしていきたいです。他の場面では,フォロワーとしてリーダーをしっかり支えていきたいです。中学生になったら,生徒会長や副会長などのリーダーになってみたいと思いました。今日は本当にありがとうございます。高校に行っても頑張ってください。(6年生)」というような感想が書かれていました。
 少し背伸びをすれば届くかもしれない,越えられるかもしれないと思える身近な将来の姿を中学生に見せて貰ったことが,子供達の意欲と憧れ感を培ってくれました。今週から縦割り班活動(ハッピーフレンズ活動)で掃除がスタートします。実践の場が始まります。

令和5年9月29日 「リーダー論」を小中で育てる。

 今週,27日(水)に,日比崎中学校の生徒をお招きし,5,6年生に「リーダーとは,フォロワーシップとは」というテーマで,講話をしてもらいました。それは,中学校で先駆的に行われていた学年縦割りでの活動を小学校が新たに導入したことがきっかけです。
 どんなに少人数のグループでも自分が班長やリーダーになることが決まると,たちまち振る舞い方や声のかけ方などに戸惑う経験は誰しもあると思います。「役割,立場」が与えられることで必然的に「自覚」を求められるからです。緊張と不安が成長の栄養素です。
 「ナイチンゲール」は「リーダーとは,メンバーを甘やかすのではなく,メンバーにとって最高の利益になることを,親身になって考える人です。」と述べています。自分が他者から気に入られることが最優先事項ではなく,他者に対していかに貢献できるかが大切だと述べているように思います。
 また,サッカー選手で有名な「ペレ」という人は「多くの人はたくさんのゴールを決めた人を偉大な選手と思います。しかし,本当に偉大な選手とは,アシストをしたり,メンバーを励ましたり,みんなに前進する自信を与えることができる人です。」という言葉を残しています。この言葉にはフォロワーシップの精神の大切さが込められていると思います。 リーダーシップ,フォロワーシップ,この二つを先輩から学び,これから新しく日比崎小学校の文化として定着させていきます。これも学校運営協議会(コミュニティー・スクール)の発足の成果の一つです。

令和5年9月22日 研究の歴史,学びの歴史を継承する。

 今年度の9月の参観日は,全校一斉に外国語,外国語活動を公開することとしました。尾道市内のALTの先生方6名に来校して頂き,それぞれの学年で担任とともに授業をして頂きました。保護者の皆様,来校頂き,ありがとうございました。
 日比崎小学校は,学習指導要領で外国語科が正式に始まるまでの期間,県の研究指定校として,外国語科及び外国語活動に係るカリキュラム開発,授業開発に熱意をもって取り組んできた学校です。現在もその研究の歴史を踏まえて,授業においては,次のような点を大切に授業を展開しています。
 (1)とにかく「聞くこと」を重視し,慣れてから話すにつなげる。
 (2)話し手に「反応」を返すなど,相互のやりとりを重視する。(他教科へも広げる。)
 (3)「何のために」この文型を学ぶのかという目的意識を持たせて授業に臨ませる。
 (4)他者のことを「知りたい,やりとりをしたい」という気持ちを培う。

 そして,5,6年生は台湾の学校と交流する機会を設け,リアルな交流体験を行っています。さらに6年生は,修学旅行先で外国の方と直接話す経験を企画したり,年度末にはスピーチコンテストを開催し,小学校時代の外国語の学びの集大成を図ります。
 本日は,これらの取組の一端を保護者の方々に公開致しました。特色ある学校づくりとして「外国語,外国語活動」の取組もこれからも大切にしています。

令和5年9月15日 幸福感を感じる条件

 ある心理学者(※)が「商品にお金を使うことと,体験にお金を使うことのどちらがより幸福感を感じられるか」について行った実験結果がありました。みなさんはどちらがより幸福感を感じられると思われますか?
 その実験結果は,圧倒的に「商品」にお金を使う方が,幸福感が得られるという結果が出たそうです。しかし,同じ人に2~4週間後に,同様の質問をしたところ,「体験」にお金を使った方が幸福感が得られたという人がはるかに多い結果になったそうです。さらに,同じ「体験」に関しても,「一人」での体験と,「複数」での体験では,圧倒的に複数での体験の方が満足感が高いという傾向があったそうです。
 「体験」には,当日までの計画を立てたり,準備をしたりするなど当日までを期待する喜びがあります。そこに複数で同じ体験を共有できれば,喜びが増幅される感覚を味わうことができます。そして,体験後もその楽しさ,喜びを他者に伝えたくなる「追体験」の喜びや楽しさがあります。
 何を「幸福」と感じるかは人それぞれであり,一律ではありません。幸福観,価値観の違いがあって当然のことです。その中でも,「同じ体験を複数で味わう喜び」を感じる機会を創ることができるのが学校です。学級や学年,そして,2学期から導入した異学年交流(ハッピーフレンズ活動)が正にその幸福感を創造する場となります。11月に開催予定の「ひびっこフェスティバル」がその大きな役割を果たしてくれると期待しているところです。
 目的をもって意図的に教育活動を創造する一つの試みが始まりました。応援よろしくお願いします。
 ※キャサリン・A・サンダーソン「ポジティブ・シフト 心理学が明かす幸福・健康・長寿につながる心の持ち方」参照

令和5年9月8日 「教科担任制推進事業」の効果を確かめて,充実を図ります。

 日比崎小学校は,「小学校教科担任制推進事業」の指定を昨年度から受けています。今日は,その事業の進捗状況を広島県教育委員会の職員の方が視察に来られました。本校では,5,6年生を対象として理科,体育科,家庭科,社会科,図画工作科などの教科を教科担任制で行っています。この事業について子ども達自身がどのように受け取っているかは次の様なアンケート項目で把握しています。
「教科担任制になって良かったと思う」
「教科担任制の授業が楽しみだ」
「教科担任制で授業内容が良く分かるようになった」
「いろいろな先生と話す機会が増えた」
「悩みを相談できる先生が増えた」
「中学校での教科担任制に対して不安がなくなった」
という6項目です。今年度の5月時点の児童のアンケートを昨年度と比較してみると全ての項目において,県の平均を上回り,昨年度よりも上昇しています。初年度は当然のことながら教師も児童も初めてですので,戸惑いがあったことでしょう。しかし,2年目を迎えて,多くの児童が肯定的にこの事業を受け止めている様子が分かります。
 文部科学省もこの事業を通して,(1)授業の質が向上する,(2)小中学校の円滑な接続を図れる(3)多面的に児童を理解することができる。(4)教師の負担を軽減することができるという4点の目的及び効果を期待している事業です。
 今日の視察においても,上記の4つの視点で子ども達の授業の様子を見て頂きました。今年の後半も試行錯誤しながら,事業の推進を図り,結果として子ども達の学びが深まることを願っています。

令和5年9月1日 プロジェクトが始動します!(第2学期始業式式一部抜粋)

 一学期の終わり頃から,6年生が,1年生と仲良くなるためのプロジェクトを企画しています。学校に「つながり」を作ることが目的です。2学期は,このプロジェクトがいよいよ始まります。一学期の終業式でお話しした,目に見える「こころづかい」や「思いやり」を通して,目に見えない「心」や「思い」を育てていくプロジェクトです。そのために4つのチャレンジをみなさんにお願いします。
 (1)自分から進んで仲間とかかわっていきましょう。(協働)
 (2)色々な場で「ありがとう」を伝えていきましょう(感謝)
 (3)友達を励ましたり,応援していきましょう。(支援)
 (4)誰かのために自分の力を使ってみましょう。(貢献)
  ぜひ,この4つのことを意識して,この日比崎小学校を誰もが居心地の良い学びの場にしていきましょう。しかし,毎日の生活の中では,思い通りにいかないことや悩みも生まれてきます。その時は,次の詩を思い出してください。※あいだみつをさんの「肥料」という詩(苦しいことも悲しいことも全部が自分を作る肥料になるという内容です。)を紹介しました。
 チャレンジするから悩みます。挑戦するから失敗します。チャレンジや挑戦をしない人は失敗することはないのです。「何かをやり遂げる人は,やり方を考えます。何もしない人は,言い訳を考えます。」
 さあ,目に見えるものを通して,目に見えないものを育てるプロジェクトをみんなで始めていきましょう。  

※子ども達に伝えた4つのキーワードを始業式が終わって,早速教室で確認してくれている学級がありました。この4つのキーワードは子ども達自身が自らアクションを起こすことができる内容です。この4つのアクションの積み重ねが,学校に繋がりの密度を高め,繋がりの渦を創り出してくれる大切な要素です。

令和5年7月20日 「見えないもの」を育てる


 1学期の修了式を終え,明日から夏休みです。各学級ではこの1学期を振り返り,自分達の成長を自覚できるように振り返りを行っています。今日は5年2組の髙橋さんが書いた「1学期を振り返って」という作文を紹介します。
 「1学期に成長したこと」※長文なので,一部省略し,編集しています。
 私は,1学期で成長したことは三つあります。
 一つ目は,「聞き方,話し方」のことです。例えば,友達が発表するときは,発表しやすいように,うなづいたり,相手が発表して良かったと思えるようなうれしい反応を返すようにしています。そして,話す時も「~ですよね。」や「~じゃないですか?」など,確かめたり,問いかけたりする話し方で相手を意識して話すことができるようになりました。
 二つ目は,「チームの力」です。4月頃は,自分の意見は自分で言うという意識でしたが,今は話し合いや発表の時,すぐにチームで分担して,協力して発表することができています。
 三つ目は,「思いやり」です。今,私達の学級では,「自由起立」という,手をあげないで発言をつないでいくことに挑戦しています。これは,他の人にゆずる気持ちがなく,とにかく自分の意見を言うことだけに気持ちが向いているとできないことです。ゆずったり,ゆずられたらありがとうの気持ちで意見をつないでいくように挑戦しています。これは「思いやり」の気持ちが育ちます。私は,みんなも自分も成長を感じられる1学期になったと思います。でも,もっと成長できると思うので,これからも頑張りたいと思いました。
 終業式の式辞で宮澤章二さんという詩人が書かれている詩の一節を紹介しました。
 「こころはだれにも見えないけれど,こころづかいは見える 思いは見えないけれど 思いやりはだれにでも見える」
 この作文からは「思いやり」や「こころづかい」が自分を成長させていることに気付いている様子が感じられ,嬉しく思います。学校は人が集う場所です。仲間の力を借りて成長する場所です。2学期はさらに自らの成長を自覚できるよう,教職員と子ども達で次のステップに進みたいと思います。
 保護者の皆様,1学期間,ご理解ご協力頂きましてありがとうございました。

令和5年7月14日 負けることの価値

 子ども達の中には,「とにかく負けることが嫌い」「100点でなければダメ」など,順位や完璧であることにこだわりを見せることがあります。しかし,人生の中で,常に一番であり続けること,いつも完璧であることは不可能です。そして自分の思い通りになることばかりではありません。負けて悔しい気持ちになったり,失敗して落ち込んだりすることがたくさんあります。スポーツやゲームは勝ち負けが伴います。負けた時の向き合い方こそが大切です。周囲の大人からの「大丈夫,大丈夫,良く頑張ったよ。」という声かけが,自分が負けた事実に真摯に向かい合っている子どもの思いとすれ違うこともあります。
 あるスポーツのコーチは,「負けたね,悔しかったね,負けた原因は何だと思う?これからどうすればいいか一緒に考えようか」と事実を認め,思いに寄り添いながら,次の一歩を踏み出させるようにしているというお話を聞いたことがあります。負けを素直に認めて,どう振る舞うか,どのように次の行動へとスイッチを切り替えていくかという心の訓練が,成長を促すのだと思います。小学校時代の「失敗経験」,「負ける経験」も成長のための大切な学習なのです。
 1学期も余すところ,3日間となりました。夏休みはもう目の前です。1学期間の自分の成長を振り返り,次なる成長のステップに向けての意欲を担任と育ててもらいたいと願っています。
 ※写真は,「夏祭り」に招待してくれたたんぽぽ学級の子ども達が手作りで作成したゲームの景品です。輪投げゲームは何回やっても入らず,最後にもう1回チャレンジさせてもらいましたが,完敗でした。それでも残念賞を用意してくれていました。素敵な子ども達です。

令和5年7月7日 アジサイの花に願う

 今日は7月7日。七夕の日です。あいにく天気は午後から雨模様に向かうようです。梅雨の時期,雨が似合う花は,アジサイです。アジサイの学名は「Hydrangea macrophylla」というそうです。この「Hydrangea(ハイドレンジア)」とは「水を受ける容器」という意味だそうです。雨が多い時期に咲き,花びらや葉が大きいため,よく大きな水玉を乗せていることからも,このような学名がついたのだと言われています。学校の敷地内にも手まり状のピンクのアジサイが咲いており,雨が良く似合います。
 このアジサイは,もともとは日本の固有植物でしたが,西洋に渡り,品種改良されて,再び日本に戻ってきたのだそうです。では,日本固有のアジサイはどのようなものだったのでしょうか。それは,一般的に良く見られる手まり状のアジサイではなく,写真のような「ガクアジサイ」だそうです。名前の通り,大きな花が額縁のように小さな花を彩っている姿が印象的です。見方によっては大きな花が小さな花を守って咲き誇っているようにも見え,より一つ一つの花の形が鮮明に浮き上がって見えるところも素敵です。
雨の七夕の今夜,アジサイの花々を天の川に見立てて,5年前の豪雨災害のような被害が起こらないことを願います。

令和5年6月30日 「思いを行動」に,「行動を変化」を繋げる。

 写真は,6年生が2年生に届けたお手紙です。これは,「ともにのびーるプロジェクト」という名称で,6年生が始めた学校改善プロジェクトです。「授業で,学校生活で,仲間とともに成長するためには自分の思いや考えを伝えていくことが必要だ」という思いからスタートしたプロジェクトです。では,具体的にどのような行動に移せば,それが実現するか,その課題に対して,様々なアイディアを考え行動しています。まずは,自分達が教室で実践できるように努力し,その様子を見てもらうこと,そして,今度は,その思いや願いが伝わったかどうか実際に見に行き,アドバイスをすること,さらには,その場で感じたことをメッセージとして届けることです。これらはいずれもが子供達の発案です。
 何も課題を感じなければ,何も行動は生まれません。その方が楽なのかもしれません。けれども,これからの社会を生きていくいく子供達には「何とかしたい」「これを実現したい」という建設的かつ批判的な視点で課題をもち,それらを仲間とともに行動に変えていく姿勢をもってもらいたいと思っています。「自分が動けば周りが変わる」という実感を学校生活の中で感じ取って卒業してもらいたいと願っています。全て大人が企画し準備した中で学ぶのではなく,思いを共有し,共感し,共に動けば学校は変わる。自分達が学校を創る「中心人物」だという思いを持てる学校生活を職員一同で提供したいと考えています。

令和5年6月23日 未来の宝を地域で育てる。

 今年度からスタートしたコミュニティースクールの取組の一つに授業や行事に地域の「ボランティア」の方々の力を借りる事業があります。その中核となるのが学校と地域を結ぶ「コーディネーター」です。今年度は日比崎公民館の館長様にその役割を担って頂いています。年度始めに学校が必要とするボランティアをお願いしたところ,写真にありますように,本日は家庭科のミシンを使った授業に10名のボランティアの方々にお越し頂きました。担任一人では支援の限界があるところですが,それぞれのテーブルで児童の必要感に応じて支援をして頂きました。代わりにやってあげるのではなく,子ども達が自分でできるようになるための支援をして頂いています。
 こうしたボランティアの方々による学校支援の仕組みを「地域学校協働本部」という名称で運営しています。保護者の方々や地域の方々が持たれている専門的な知見を様々な分野で子供達に提供していただくことが,子供達の視野の拡大に繋がります。卓越した技能を持たれた方と直接接することができる経験やこれまで知らなかった分野の仕事があることの理解など,子ども達にとって「キャリア教育」の視点からも重要です。
 ぜひ,随時,ボランティアを募集していますので,ご協力いただける方は,ご連絡ください。「未来の宝」を学校と地域で育てていきましょう。来週も図工の授業にお招きする予定です。
※「学校運営協議会」については文部科学省が作成しているこちらのページをご覧ください。

令和5年6月16日 任せる,見守る

 朝の準備時間や休憩時間,給食時間などに6年生が1年教室で必要に応じて手助けをしたり,一緒に遊んだりするなど,自発的かつ積極的な動きが毎日のように行われています。自分のことを待っていてくれる,必要とされている,感謝される,そうした感覚が得られることが原動力になっているように思えます。
 そうした日常的な関わりの中から,6年生の何人かが発起人となって,「6年生と1年生の交流プロジェクト」を立ち上げようとする動きが見られます。自分の学級だけではなく隣の学級へも呼びかけながらのプロジェクトです。先生に言われて,頼まれてではなく,自分の意思に基づいて動く姿勢が素敵です。そうした様子を見ていると,2学期から教師主導で導入しようと考えていた縦割り班活動でしたが,子ども達に任せてみたくなりました。「やらされ感」ではなく,実現できたという「達成感」へと質的転換ができるのではないかと考えています。テレビドラマや映画には必ず主人公がトラブルに巻き込まれたり,葛藤する場面があり,それを乗り越えていくからこそ,エンディングに感動が生まれます。今回のプロジェクトも紆余曲折があるかもしれませんが,それを乗り越えて実現するからこそ,達成感が高まるのではないかと期待しています。「子ども達に任せてみる」姿勢と任せた後は「見守り」続けたいと思います。

令和5年6月9日 マリーゴールドの喜び

 先週,栽培委員会のメンバーが児童玄関前に花壇の苗を植えてくれました。その中にマリーゴールドがありました。夏に鮮やかな色彩で咲き誇る綺麗な花ですが,「コンパニオンプランツ」としての利用でも知られている花です。「コンパニオンプランツ」とは,育てたい野菜の近くに植えておくと,よい影響をもたらす植物のことです。例えば,野菜のピーマン,トマト,キュウリ,大根などの野菜の近くにマリーゴールドを植えておくと,害虫を遠ざけてくれる効果が期待できます。マリーゴールドは根や葉の部分に特有の匂いがあります。そのため,病気や害虫の被害にあいにくくなり,結果として,生育がよくなったり,風味や味がよくなると効果が期待できます。これらの事から「共栄作物」とも呼ばれています。マリーゴールドからすると,栄養豊富な土地に植えてもらえることからも生存には有利です。
 植物の世界における「違いを生かす」関係ですが,教室における人間関係も同様です。様々な性格や特技をもつ多様な集まりの中にこそ,お互いを生かし合う関係が生まれてきます。「お世話をしてお世話をされる。」「面倒をかけて面倒をかけられる」そうした関わりの中に感謝が生まれ,新しいつながりが生まれます。
 全校朝会でこのお話をした翌日,朝の登校時に「どれがマリーゴールドか分かった!」と何人かの児童が話しかけてくれました。嬉しい瞬間です。プールも始まり,夏モードへと季節は移り変わります。体調に気を付けて,また来週元気な挨拶の声を聞かせてもらいたいです。

令和5年6月2日 共感的な教室の空気の中で,論敵に感謝する。

 4月に行った「学級力」の調査から「学習」の項目が低い結果となった6年生。この2カ月間,この課題を解決するための方策を自分達で考えて挑戦し続けてきました。ポスターに「めざす話し方,聞き方」に関する達成したい項目を書き,日々その実現のために取り組んでいます。今日もその挑戦の一旦を見て,2カ月間の進歩を感じたところです。「応答する関係」が成立するためには「話し手の話し方」も大切です。原稿を読んでいてはだめなのです。聞き手の反応を確かめながら熱意をもって伝える姿勢が求められます。そして,それにも増して「聞き手」の「あなたの話を聞いていますよ。分かりましたよ。」という受容的な態度と姿勢を視覚的,聴覚的に話し手に感じてもらうことが大切です。写真はまさにその点を大切にしながら応答している場面です。反論する際も,「◯◯君の考えも分かるんだけど,私は・・・」という反論の仕方を大切にしています。自分と異なる考え方の人の存在で自分の考えが揺さぶられ,新たな考えへと深まっていきます。まさに「論敵は恩人」です。
 6年生はこれから全校のモデルとなって対話を深める「話し方・聞き方」を全校に伝えていく伝道者の役割を担います。

令和5年5月26日 「心の葛藤」を成長のバネに変える。

 先週,快晴の中,運動会が終わりました。次の作文は今回の運動会を通して感じた自分の変化について6年生の児童が記述したものです。
「私は,この運動会で『みんなで作り上げる』ということはとても大切だと思いました。今までは一人で考えて,一人でやる方が自分的にはやりやすかったけれど,今はみんなでやる方が楽しく感じ,自分のためにもなり,達成感があっていいところだらけなことに気が付きました。みんなで進めるには自分の考えを伝えなきゃいけないし,悩むこともたくさんありました。けれど,『つまづいたら,みんなで考えて,みんなで悩めばいい』ということをリーダーの経験を通して学びました。リーダーになったら,みんなが支えてくれてみんなが一緒に考えてくれるからとにかく『やるだけやってみよう!』という考え方が絶対自分のためになるからこれからもリーダーをしていきたいし,リーダーをしたいという人が増えたらいいなと思いました。」

困難や葛藤,悩み,失敗はない方がいいのかもしれません。しかし,「良質な失敗体験」や「良質な悩み」というものが存在するのも確かです。伝えたり,調整したり,折り合いをつけたりするなど,人と共に何かを成し遂げることは煩雑であり難しさがあることも確かです。しかし,悩みを分かってくれる人が近くにいてくれたり,喜びを共に分かち合えたりできる体験がそれらのことを消し去るだけのエネルギーになり,「人と共に歩む喜び」を獲得することに繋がっているとこの作文を通して感じました。 「学校」は「困難,葛藤,悩み,失敗」を成長に変えることができるチャンスと環境を与えてくれます。

令和5年5月21日「限界突破,心を一つに 燃えろ日比っ子魂」

 5月21日(日)は令和5年度の運動会でした。小学校における学校行事の中でも運動会は,子供達の生き生きとした活躍の姿を披露できる絶好の機会です。私たち教職員は運動会を開催するにあたり,「体育を中心とした学習の成果を披露する」という目的に加えて,「全力を出し切る楽しさ」や「よりよい成果を友達と協力して創り出すこと」を大切な目的として確認しました。そして,この5月という時期に運動会を行うことは学級や学年の結束力を高めることができるというメリットも感じています。
 児童会のメンバーが全学年の思いや願いを集約した形で決めた「限界突破,心を一つに 燃えろ日比っ子魂」というスローガンを常に意識しながら,当日の運動会は進められました。4年ぶりにご招待した来賓の皆様や保護者の皆様,地域の皆様からの温かい声援や拍手に支えられ,子供達は力を出し切りました。5月の連休前後からの短い期間の中で,懸命に練習をしてきた成果を披露することができました。
 最後になりましたが,運動会開催に向けて,快く会場を提供してくださいました日比崎中学校の職員,生徒の皆さん,そして,前日,当日,ご支援くださったPTAの皆さんに心から感謝申し上げます。

令和5年5月19日「限界突破,心を一つに 燃えろ日比っ子魂」

 5月21日(日)は令和5年度の運動会です。小学校における学校行事の中でも運動会は,子供達の生き生きとした活躍の姿を披露できる絶好の機会です。私たち教職員は運動会を開催するにあたり,「体育を中心とした学習の成果を披露する」という目的に加えて,「全力を出し切る楽しさ」や「よりよい成果を友達と協力して創り出すこと」を大切な目的として確認しています。そして,この5月という時期に運動会を行うことは学級や学年の結束力を高めることができるというメリットも感じています。
 先日,児童会のメンバーが全校集会で令和5年度の運動会のスローガンを発表しました。そこには全学年の思いや願いを集約した形で「限界突破,心を一つに 燃えろ日比っ子魂」と書かれていました。その思いや願いが達成できるよう心から応援したいと思います。3年間のコロナ禍による制限も少しずつ緩みつつありますが,今年度も尾道市内の小学校では運動会を半日開催という形で継続致します。5月の連休前後からの短い期間の中で,懸命に練習をしてきた成果を披露いたしますので,子供達へのご声援をどうぞよろしくお願い致します。
 最後になりましたが,運動会開催に向けて,快く会場を提供してくださいました日比崎中学校の職員,生徒の皆さん,そして,前日,当日,ご支援くださるPTAの皆さんに心から感謝申し上げます。

令和5年5月12日「豊かな言語体験」が「感性」を磨く

 6年生の国語の教科書には「生きる」(谷川俊太郎作)という詩が掲載されています。この詩を学んだ後,6年2組の子供達はオリジナルの「生きる」の詩を作りました。かなりの長文なので,以下途中を省略し編集した形ですが,掲載します。

生きているということ,いま生きているということ,それはあいさつするということ
それはけんかするということ,それは楽しいということ,それは笑い合えるということ
それは相談できるということ,それは友達という大切な人に出会えるということ

生きているということ,いま生きているということ,それは「愛し合う」ということ
それは「支え合う」ということ,それは「話し合う」ということ
すべての「家族を大切にする」ということ,そして「隠された愛」を探すということ

生きているということ,いま生きているということ
それは,自分の人生を楽しく生きるということ,それは幸せを短く感じるということ
それは日常を科学に支えられているということ,そして未来へ意思をつなぐということ

生きているということ,いま生きているということ
それは高め合うライバルがいるということ,そして夢に向かって進むということ
それは人との思い出ができるということ,そしてすてきな人に出会うということ 

生きているということ,いま生きているということ
それは人を愛し,人に愛されるということ,それはあなたと過ごすということ

「感性」は「言葉」に現れます。そして,豊かな「言葉」を獲得すればそれがまた「感性」を鍛えます。小学校の6年間での豊かな「言語体験」を子供達に提供していきたいと考えます。

令和5年4月21日 新しい学級風土が形作られています。

 保護者の皆様,今週開催した個人懇談会にご出席いただき,ありがとうございました。家庭訪問に代わって実施しておりますこの懇談会において,ご家庭での様子を聞かせて頂くことは児童理解につながる良い機会となりました。引き続き必要に応じてご連絡ください。
 今年度の学校生活が始まって2週間が過ぎました。新しく学級が編成された当初は,同学年であっても,お互いに探り合いの時間が流れます。担任に対しても「どこまでなら許されるかな!?」というような「試し行動」が良く見られます。言葉では言い表せない学級の風土,空気感が作られていく大切な時期です。この学級独自で作られる空気感も大切にしながら,全校で共有する空気感を創り出していきたいと考えてます。その具体的な方法については,これから教職員と共有していきます。
 来週は台湾交流や1年生を迎える会,そして港まつりなどの行事が予定されています。人と人が折りなす賑わいが生まれる週になりそうです。

令和5年4月15日 土曜参観日&総会へのご出席ありがとうございました。

 保護者の皆様,本日は雨天の中,令和5年度の初めての参観日及び総会にご出席頂き,ありがとうございました。4年ぶりの体育館に集合しての総会も開催でき,PTA活動もスタートしました。
 子ども達にとっては長い一週間となりましたが,この期間,子ども達の学校での様子を見て,「学びに向かう姿勢が強い」「伸びしろが極めて高い」子ども達だと感じています。伸びしろというのは自分の考えを今よりさらに意欲的に伝える姿が前面に出ればさらに伸びるという視点から感じたことです。この点に関しては,私達教職員が意図と目的を明らかにした実践を提供すれば,必ず大きく成長すると確信しています。小学校生活の6年間の子ども達の成長は著しいものがあります。この大切な時間に「人が集う学校」だからこそできる多様な経験を提供したいと考えています。キーワードは「人は人の中で人になる」です。「人が集う場所としての学校」の役割を認識し,一人一人の子供達が自律するための基盤としての多様な人との関わりの場を作りたいと考えています。自律とは何もかも自分一人でできるようになることを目指すのではありません。誰しも苦手なこと,不得手な事があるのが当然です。できない時には人の力を借りてできるようになれば良いのです。つまり協働の中での自律を促す教育活動を創造していきます。
 一年間,教育活動へのご理解ご協力をよろしくお願い致します。本日はありがとうございました。

令和5年4月7日 出会いは宝

 昨日に始業式を,そして本日,入学式を行い,63名の新入生を迎えて,令和5年度の教育活動がスタートしました。今日は激しい雨に見舞われましたが,雨は大地を潤し,命を育む源泉です。体育館の屋根を打つ音も拍手の音だと考えれば,祝福の雨とも捉えることができます。こうして新しい出会いの機会を与えられることは,これまでとは違った見方考え方の人達との出会いのチャンスが生まれる機会でもあり,また,相互に影響を及ぼし合って新しい化学反応が生まれる可能性の機会が与えられたとも考えられます。
 来週から本格的な学校生活が始まります。生活リズムを整えて登校できますようご協力をよろしくお願い致します。週末には参観日,懇談会も予定されています。子ども達の学びの姿をご覧頂ければ幸いです。
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