いじめ防止基本方針
尾道市立因北中学校
いじめ防止等に係る基本方針
平成28年3月29日改訂
1 基本方針策定の趣旨
いじめは,人間として絶対に許されない行為であり,いじめられた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し,その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず,その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがある。
いじめは「どの子どもにも,どの学校でも,起こりうるものである」との認識に立ち,いじめを許さない集団づくりを通して,いじめの問題の未然防止を図るとともに,いじめのサインを早期に発見し,早期に対応することが大切である。また,全ての生徒が安心して学校生活を送り,自分の夢の実現に向かって様々な活動に自律的に取り組むことができるよう,学校を含め,地域全体でいじめ問題に取り組むことが重要である。
このため,本校として,いじめ問題の克服に向け,「いじめ防止対策推進法」や「広島県いじめ防止基本方針」「尾道市いじめ防止基本方針」に基づき,いじめ防止等の基本的な方向を示す「因北中学校いじめ防止等に係る基本方針」を定め,校長のリーダーシップの下,家庭・地域住民・その他の関係者等と連携し,いじめ防止等のための対策を学校全体で組織的にかつ効果的に推進する。
2 いじめの定義
「いじめ」を,いじめ防止対策推進法第2条に基づき,次のとおり定義する。
「いじめ」とは,児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
具体的ないじめの態様には,次のようなものがある。
・冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる
・仲間はずれ,集団による無視をされる
・軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする
・ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする
・金品をたかられる
・金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする
・嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする
・パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる 等
文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より
これらの「いじめ」の中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められ,早期に警察に相談することが重要なものや生徒の生命,身体又は財産に重大な被害が生じるような,直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては,教育的配慮や被害者の意向への配慮のうえで,早期に警察に相談・通報の上,警察と連携した対応をとることが必要である。
いじめには,大人には見えにくく,発見することが難しいという特性があり,大人が見逃していたり,見過ごしていたりする可能性がある。いじめの対応においては,認知件数の多寡のみを問題とするのではなく,アンケート調査や教育相談,日常的な実態把握により,早期に発見(認知)し,早期に対応するなど,学校全体で組織的に取り組むことが重要である。
3 本校におけるいじめ防止等に係る基本的な考え方
いじめの問題に取り組むにあたっては,いじめはどの子どもにも,どの学校にも起こりうるものであるという認識にたち,本校の生徒実態や生徒指導上の課題について把握し,組織的かつ計画的にいじめのない学校を構築するため,本校教職員及び関係者の認識の共有と徹底を図り,取組を推進する。
いじめの問題への認識
いじめは,人間として絶対に許されない行為であり,児童生徒の心身に深刻な影響を及ぼし,生命をも奪いかねない人権にかかわる重大な問題である。
いじめは,全ての児童生徒に関係する問題である。
いじめの問題への指導方針
いじめは絶対に許されないとの毅然とした態度で,いじめられている児童生徒の立場に立って指導する。
全ての児童生徒がいじめを行わず,いじめを認識しながら放置することがないよう,いじめが,いじめられた児童生徒の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることについて,児童生徒が十分理解できるように指導する。
いじめの問題への対応は,教職員の児童生徒の児童生徒観や指導の在り方が問われる問題であり,児童生徒一人一人の個性に応じた指導の徹底や児童生徒自らいじめをなくそうとする態度を身につけるなど望ましい集団づくりとあわせて指導する。
いじめの問題等への対応
ア いじめの防止については,全ての生徒が安心して学校生活を送り,様々な活動に取り組むことができるよう,学校の内外を問わず,いじめが行われなくなることを目指して行う。
イ いじめ問題への対応は,学校における最重要課題の一つであり,一人の教職員が抱え込むことなく,学校が一丸となって対応する。
ウ 家庭と充分な連携をとりながら,いじめの中には,警察等関係機関と早期の連携が重要となるものがあることを十分認識して取り組む。
4 本校におけるいじめ防止等に関する具体的取組
(1)いじめの防止等に係る組織
いじめの防止及びいじめの早期発見・早期対応を組織的に行うためのいじめ防止対策推進法第22条により「尾道市立因北中学校いじめ等防止対策委員会」(以下いじめ等対策委員会)を設置し,全教職員がいじめられた生徒を守りきるという立場に立ち,組織的に対応する。
この委員会の構成,役割及び組織は,この基本方針に基づき適切に改訂する。
「いじめ等防止対策委員会」を,校務運営委員会組織に位置付ける。(別紙)
(2) いじめ防止等に係る具体的な対応
いじめ等防止対策委員会は,次の各項について生徒指導部と連携を図りながらその円滑な実施について統括する。
ア いじめ防止等に係る教育相談体制及び生徒指導体制の構築をする。
イ いじめの防止及びいじめ発生時の対応等に係る校内研修を実施する。
ウ いじめの防止及びいじめ発生時の対応等に係る保護者・関係機関等との連携を進める。
エ いじめの防止及びいじめの早期発見に係る定期的,計画的なアンケート調査及び個別面談を実施する。
オ いじめの防止等に係る保護者への啓発及び広報を行う。
カ いじめの防止等に係る相談窓口の設置及び広報を行う。
キ いじめ発生時の対応プログラムを作成する。
ク 重大な事態が発生した場合のプロジェクトチームの編成をする。
ケ 必要に応じて,心理や福祉の専門家,医師,弁護士等の外部専門家を招聘する。
(3)いじめ防止等に係る生徒への取組
ア 未然防止
生徒一人ひとりの状況を的確に把握し,すべての教育活動において望ましい集団づくりを進めるとともに,生徒指導の三機能を生かした授業づくりを推進し,すべての生徒が積極的に教育活動に参加して活躍することができるよう,「知・徳・体」の基礎・基本の充実を図る。また,以下の視点を重視する。
(ア)望ましい人間関係や互いのよさを認め合う集団をつくる。
(イ)道徳・特別活動を通して規範意識や集団の在り方についての学習を深める。
(ウ)どのような行為がいじめにあたるのか,いじめられた生徒にどのような影響を与えるのか,いじめはどのような構造なのかなど,いじめについて正しく理解させる。
(エ)子どもがいじめを自分のこととして考え,自ら活動できる集団をつくる。
(オ)ソーシャルスキル・トレーニングやピア・サポート等を通じて,円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育成する。
(カ)常に危機感を持ち,いじめ問題への取組を定期的に点検して,改善を図る。
(キ)学校生活での悩みを解消するために,スクールカウンセラー等を活用する。
(ク)教職員の言動でいじめを誘発・助長・黙認することがないよう細心の注意を払う。
(ケ)教職員研修の充実,いじめ相談体制の整備,相談窓口の周知徹底を行う。
(コ)地域や関係機関と定期的な情報交換を行い,日常的な連携を深める。
イ 生徒の主体的な活動の支援
生徒が自律して,自分たちでいじめのない学校を目指して取り組んでいくことが重要であることから,生徒会組織の中に,いじめ防止等のための委員会(学級委員会)を設置し,いじめ撲滅キャンペーンといった活動を行う等,生徒の主体的な活動を支援する。
ウ いじめの早期発見・早期対応
いじめられている生徒を守るために,定期的,計画的なアンケート調査や教育相談を進めるとともに,日常的な実態の把握により,生徒が発するどんな小さなサインも見逃さず,早い段階で適切に対応するなど,いじめの早期発見・早期対応に取り組む。また,早期発見については,以下の視点での取組を行う。
(ア)子どもの声に耳を傾ける(アンケート調査,生活ノート,個別面談等)
(イ)子どもの行動を注視する(ネットパトロール等)
(ウ)保護者と情報を共有する(電話・家庭訪問,PTA会議等)
(エ)地域と日常的に連携する(地域行事への参加,関係機関との情報共有等)
早期対応については,以下の視点で適切な対応をする。
(ア)いじめられている子どもや保護者の立場に立ち,詳細な事実確認を行う。
(イ)校長は,事実に基づき,子どもや親に説明責任を果たす。
(ウ)いじめる子どもには,行為の善悪をしっかり理解させ,反省・謝罪をさせる。
(エ)法を犯す行為に対しては,早期に警察等に相談して協力を求める。
(オ)いじめが解消した後も,保護者と継続的な連絡を行う。
(カ)必要に応じて,心理や福祉の専門家,医師,弁護士など外部の専門家を招聘する。
(4)学校,家庭及び地域の連携
学校関係者,PTA及び地域の自治会等が連携・協働し,地域社会全体で生徒を守り育てる。
(5) 警察への相談・通報
いじめの中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められ,早期に警察に相談することが必要なものや児童生徒の生命,心身又は財産に重大な被害が生じるような,直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。これらについては,早期に警察に相談・通報の上,警察と連携して対応する。
(6) 重大事態発生時の対応
調査組織(プロジェクトチーム等)を編成するとともに,対応フロー図を作成する。
「重大事態」とは,次に掲げる場合を指す。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命,心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認められるとき。
(年間30日を目安とし,一定期間連続して欠席している場合などは,迅速に調査を行う。)
5 重大事態への取組
重大事態が発生した場合(発生事案についていじめ等防止対策委員会において重大事態と判断したとき),学校は,速やかに尾道市教育委員会へ報告するとともに,プロジェクトチーム等を編成し,調査等の適切な取組を行う。
ア 問題解決への対応
(ア)情報の収集と事実の整理・記録(情報集約及び記録担当者の特定)
(イ)重大事態対応プロジェクトチーム編成
(ウ)関係保護者,教育委員会及び警察等関係機関との連携
(エ)PTA役員及び同窓会等との連携
(オ)関係児童生徒への指導
(カ)関係保護者への対応
(キ)全校児童生徒への指導
イ 説明責任の実行
(ア)いじめを受けた児童生徒及びその保護者に対する情報の提供
(イ)全校保護者への対応
(ウ)マスコミへの対応
ウ 再発防止への取組み
(ア)教育委員会との連携のもとでの外部有識者の招聘
(イ)問題の背景・課題の整理,教訓化
(ウ)取組の見直し,改善策の検討・策定
(エ)改善策の実施